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HCH Research Memo(5):2025年9月期は、前期並みの利益水準を確保しつつ売上高の高成長を図る


HCHは2025年9月期の連結業績として、売上高が前年比20.1%増の8,606百万円を目指す計画。営業利益と経常利益は僅かに増加する見通しだが、利益水準を維持しつつ、売上高の高成長を狙っている。特に戦略領域とSES(システムエンジニアリングサービス)分野での成長が期待されており、M&Aや既存事業の強化を重視。2030年までにEPS1,000円、ROE30.0%を目標としており、中長期的な成長に向けた投資と事業構造の転換を進める方針。ペアキャピタルの完全子会社化を通じた経営コンサルティング事業の拡大も視野に入れている。

*13:35JST HCH Research Memo(5):2025年9月期は、前期並みの利益水準を確保しつつ売上高の高成長を図る ■今後の見通し

● 2025年9月期の業績予想概要
2025年9月期の連結業績は期初予想を据え置いて、売上高が前期比20.1%増の8,606百万円、営業利益が同0.7%増の635百万円、経常利益が同0.9%増の635百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同0.1%増の404百万円、EBITDAが同1.9%増の773百万円を見込んでいる。利益面は中長期的な収益拡大に向けた先行投資の影響で横ばい予想だが、前期並みの利益を確保しつつ、売上面は戦略領域、SESとも高成長を図る方針だ。事業別売上高は戦略領域が同33.4%増の2,922百万円(売上高構成比34.0%)、SESが同14.2%増の5,683百万円(同66.0%)を見込んでいる。

業績予想の前提として、戦略領域ではエンジニア管理職に営業意識を根付かせる評価体系の一部変更、アップセル・クロスセルの推進などによる事業子会社間のシナジー創出を図るほか、M&Aも積極検討する。SESでは前期から本格化した派遣エンジニア人員増強施策(中途採用の強化、ビジネスパートナーの積極活用)を継続して稼働人員を拡大する。SESの利益率については入社から本格稼働までのリードタイム発生を考慮して若干の低下を見込むが、稼働率については年間を通じて安定した稼働率の確保を想定している。販管費については採用や管理体制の強化に伴い増加を見込んでいる。なお現時点ではM&A関連費用の発生を織り込んでいないが、何かしらのディールが実現した場合には一過性費用を計上する可能性がある。

第1四半期の進捗率は売上高が23.4%(戦略領域が22.8%、SESが23.7%)、営業利益が33.4%、経常利益が33.4%、親会社株主に帰属する当期純利益が32.7%、EBITDAが31.6%で、各利益の進捗率が高水準だった。IT・DX需要は高水準で推移することが予想され、ヒューマンクリエイションホールディングス<7361>にとって事業環境は良好である。戦略領域は案件獲得・検収時期などが変動する可能性があるものの、SESは期末に向けて派遣人員数の積み上げが期待される。これらの点を勘案すれば、通期利益予想に上振れ余地があるものと弊社では考えている。



■成長戦略
中長期経営方針の目標は2030年9月期EPS1,000円(2024年12月株式分割後500円)、ROE30.0%超。2025年4月のペアキャピタル完全子会社化により中長期経営方針達成の蓋然性が高まる
1. 中長期経営方針
同社は中長期目標として2030年9月期のEPS1,000円(2024年12月株式分割後500円)、ROE30.0%超を掲げ、2025年9月期にスタートした成長戦略2ndステージの最終年度2027年9月期の目標には、売上高12,000百万円(このうち戦略領域は新規M&Aによる3,000百万円の寄与を含めて5,000百万円)を掲げている。2030年9月期の目標の実現に向けて、2ndステージでは業容拡大にこだわり、M&Aを含む積極投資で売上規模拡大と事業構造転換を強力に推進する方針だ。費用は一時的に積み増す。そして3rdステージ(2028年9月期〜2030年9月期)では利益水準と資本効率にこだわり、投資回収とシナジー創出を進める。費用は定常化水準に戻す。なお同社のROEは2024年9月期実績で33.9%だった。2ndステージでは費用を積み増すため一時的にROEが低下するが、3rdステージにおいてROE30.0%超への回帰を実現する方針である。


「人財」「組織」「領域」の3つの内的変革を推進
2. 2ndステージの戦略方向性
同社は現状認識・課題として、これまでは「人財」「組織」「領域」面の戦略とアクションが不十分だったと認識し、2ndステージでは再成長に向けた施策を推進する。「人財」「組織」「領域」の3つの内的変革を進め、ソリューション・インテグレーターとしての事業基盤強化、顧客の経営課題の全方位的サポートにより、今以上に顧客に変革をもたらすべく業容拡大にこだわる方針だ。

「人財」戦略については、従来は100%正社員にこだわり、自社サービスのゼロ円スクールでの未経験者のSES人財への育成を主力としてきた。そのため、人員数が大きく増えず、基盤のSES事業の成長が限定的という課題があったが、2024年9月期よりキャリア採用とビジネスパートナー活用を積極化する方針に転換した。これにより人員拡充ペースを加速させる。「組織」戦略については、従来は現場技術者の営業意識が不十分だったほか、組織的な縦割り色が強かったため、顧客深耕やアップセル・クロスセルが少ないという課題があったが、エンジニアマネジャー層の評価制度を変更して売上責任を付加するなどの施策により、顧客に入り込む現場メンバーによるアップセル・クロスセルを推進している。「領域」戦略については、従来はM&Aのターゲット、M&A後のシナジー創出、戦略領域の成長方向性がやや総花的で具体性に乏かったため、シナジー創出や業容拡大が限定的という課題があったが、ソリューション・インテグレーターとしての業容拡大に向けて、重点施策の絞り込み及びリソースの重点投下を推進している。

2ndステージの進捗状況としては、M&A仲介のペアキャピタルとの業務提携効果などにより、商談のリードが従来に比べて格段に増加し、独占交渉権を獲得してDD(デューデリジェンス)実施まで進展している事例もあるなど、業容拡大に向けて出だしは順調のもようである。また、新たにM&A推進チームを組成した。AI開発スタートアップ企業、人・顧客・知見を持った同業他社などをターゲットに、M&A戦略も積極推進する方針だ。こうした流れの中で、2025年3月14日にペアキャピタルを完全子会社化すると発表。同社史上最大規模の買収価額約10億円で実施し、4月1日付けでグループ入りする。ペアキャピタルの買収目的は、更にM&Aを加速させるためではなく、ペアキャピタルが培ってきたコンタクトポイント(=既に保有している経営者群とのネットワーク)を最大活用することで、経営コンサルティング事業を急拡大させることが主目的である。経営コンサルティング事業を通じてのSI需要も見込まれることから、弊社は中長期経営方針の達成蓋然性が更に高まったと見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


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