紀文食品 Research Memo:2025年3月期第3四半期は増収減益も通期は期初予想通り着地へ
紀文食品は2025年3月期第3四半期において1.4%の増収を記録しましたが、コスト増により営業利益が2.1%減少しました。主要な増収要因は食品関連事業と国内事業の回復です。利益改善が進むものの、エネルギーコストや人件費の上昇が影響しました。米国でのカニカマ製品が堅調に推移する一方、中国市場では消費回復遅れが影響しています。通期では、売上高110,951百万円と会社予想通りの着地が見込まれています。業績への影響を最小化するため、紀文食品は2026年までの中期計画に基づき経営資源を効率化しています。
日本経済は緩やかな回復基調で推移したものの、物価高の長期化から個人消費は力強さを欠き、先行き不透明な状況が続いている。そうした環境下、同社は、2024年4月にスタートした「中期経営計画2026」に基づいて事業を展開した。売上高は、新規顧客の獲得や既存顧客が物量増により食品関連事業が引き続き好調だったことに加え、国内食品事業も業況が回復してきたことで増収を確保した。一方、前年同期に比べて原材料価格が安定、海外の原価率も良化したが、エネルギー価格や運送費・海上運賃の上昇、事業活動の活発化、昇給、金利の上昇などにより様々なコストが増加したため減益となった。
セグメント別の業績は次の通りである。国内食品事業の国内小売部門では、特設ウェブサイトの設置やイベントの開催、TVerやTVCM広告の投下、SNSでの情報発信などを積極的に行った。特に正月商品は、プロモーションやセット品を展開したことが奏功し、蒲鉾や伊達巻、これらをパッケージした商品などが順調に推移した。惣菜は、競争環境の厳しい麺状商品は苦戦したが、中華まんじゅうや中華餃子、玉子加工品が非常に好調だった。主力のスリミ製品は、カニカマやはんぺんは伸長したものの、夏場の高気温が長引いたことや店頭での販促競争激化の影響によりやや苦戦となった。商事部門では、日本食品や水産物、資材の販売が好調だった。利益面では、エネルギー価格や運賃の上昇、事業活動の積極化に伴うコスト増などの一方、増収効果に加え、上昇局面に入ったとはいえ原材料の冷凍すり身価格の安定が寄与した。この結果、国内食品事業の売上高は59,228百万円(前年同期比0.1%増)、セグメント利益は2,278百万円(同1.3%増)となった。
海外食品事業では、米国市場において、カニカマなどスリミ製品が堅調に推移、農畜産物の輸出で円安メリットも発生したが、施策の遅れによりHealthy Noodle(糖質0g麺)が苦戦した。中国市場においては、新たに和食チェーン店向けにタイ工場製品を導入したが、個人消費の回復遅れや日本産水産物の輸入規制の影響により販売が大きく減少した。利益面では、海上運賃は高騰したものの、円安効果及びカニカマなど高付加価値自社製品の売上構成比上昇により利益率が向上した。この結果、海外食品事業の売上高は8,364百万円(前年同期比0.3%減)、セグメント利益は662百万円(同4.0%増)となった。食品関連事業では、主力の物流事業が新規顧客や既存顧客の配送エリアの拡大、正月商戦や外食店向けの物量増により好調だったほか、工場の入退出管理システムなどの販売増で情報部門も順調に推移した。利益面では、人件費や各種コストは増加したものの、共同配送の積載率向上、料金改定、機械化推進、配送コース最適化などにより採算改善が進んだ。この結果、食品関連事業の売上高は15,163百万円(前年同期比8.2%増)、セグメント利益は972百万円(同14.8%増)となった。
2025年3月期の業績見通しについて、同社は期初予想通り、売上高110,951百万円(前期比4.2%増)、営業利益4,727百万円(同0.2%増)、経常利益4,221百万円(同3.9%減)、親会社株主に帰属する中間純利益2,855百万円(同0.9%増)と見込んでいる。例年第3四半期3ヶ月は、スリミ製品と惣菜の需要が高まること、12月におせち料理など正月商品の売上が集中することから、通期業績の大半を占めることになるが、第3四半期累計業績がおおむね想定内の推移と推測されることから、通期業績は会社予想線への着地が想定される。なお、国内食品事業において、「中期経営計画2026」に沿って機能の集約・強化を図っているが、2025年1月1日の株式会社北食に続き、2025年4月1日に株式会社紀文西日本を吸収合併することで、経営資源の適正配分と効率的な活用を進める計画である。本合併は同社の完全子会社との合併であるため、今来期の連結業績への影響は軽微とのことである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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