アーレスティ Research Memo(3):品質と安定生産に裏打ちされた信頼と安心をグローバルで提供する(1)
アーレスティは、自動車業界における100年に一度の大変革期に対応し、品質と安定生産による信頼をグローバルに提供することを目指しています。特に、地球温暖化対策に伴う自動車の電動化が進行中であり、同社はこれを成長の機会と捉えています。2030年までに世界の自動車需要が増加し、電動車の部品需要も拡大すると考えられています。アーレスティは、電動車への対応として、アルミニウム二次合金を使用した軽量化技術を強化し、2030年までに電動車部品の売上比率を55%に引き上げる計画です。また、従来の内燃系と合わせて新たな電動部品市場を着実に拡大し、持続的な成長を狙っています。
1. 経営環境
アーレスティ<5852>の主要販売先である自動車業界は100年に一度の大変革期とも言われており、各国の産業政策や燃費規制、モビリティとしての自動車の役割の変化などによりCASE※が進展している。特に同社の事業に大きく影響してくるのが、深刻化する地球温暖化対策としてマストとなるCO2削減に向けた自動車の電動化だ。2015年の国連気候変動枠組条約締約会議(COP21)で採択されたパリ協定では、世界平均気温上昇を産業革命以前と比べて「2℃より十分低く、できれば1.5℃に抑える」という目標を掲げた。また、2021年のCOP26のグラスゴー気候合意では、「+1.5℃」に抑えるために、世界のCO2排出量を「2030年に2010年比45%削減」「2050年までに実質ゼロ(カーボンニュートラル)」にする必要が確認され、主要先進国では2050年カーボンニュートラル達成の法定化などを進めている。
※ CASE:「Connected(コネクティッド)」「Autonomous/Automated(自動化)」「Shared(シェアリング)」「Electric(電動化)」の頭文字をとった造語で、自動車産業の今後の方向性を示すキーワード。
自動車メーカー各社は電動車(BEV・HEV・PHEV・FCV)※1への転換を加速しており、今後はICE※2が減少しBEVが大幅に増加しながら世界の自動車生産は順調に増加すると同社では捉えている。足元では、充電インフラの整備状況、バッテリーのコスト面などからBEVの増加が鈍化し、HEVやPHEVが好調に増加しており、同社では、BEVへの完全移行が進むまでの過渡期はHEV、PHEVが増加すると考えている。HEVやPHEVは同社の主力とするエンジンやトランスミッションに加え、インバーターやコンバーターなど電気制御関連部品等が追加されるため、使用するダイカスト重量は従来のICEの約120%に増大する。
※1 BEV(Battery Electric Vehicle):ハイブリッド車と異なりエンジンを使用せず電気を唯一の動力源とする自動車
HEV(Hybrid Electric Vehicle):内燃機関と電動モーターを組み合わせたハイブリッド車(外部充電は不可)
PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle):外部充電が可能なハイブリッド車
FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle):水素をエネルギー源とする燃料電池車
※2 ICE(ICE(Internal Combustion Engine):内燃機関(ガソリン・ディーゼルエンジン)を使用する自動車
一方でBEVやFCVにおいては、エンジンや関連部品が不要になるためダイカスト使用量はICEの約80%に減少する一方で、電動化に伴い電気制御関連部品、モーターハウジングや減速機、バッテリーケースなど新たな部品需要が発生するとともに、エネルギー消費効率を向上させるためには軽量化が必至となる。アルミニウムの比重は2.71と鉄の約1/3であり、自動車部品にアルミの採用を増やすことで軽量化に貢献できる。同社の製品の97%はアルミスクラップからリサイクルされたアルミニウム二次合金を使用しており、二次合金の生産に生じるCO2排出量は鉄の約1/4、アルミ新塊の約1/18であることから、車の軽量化とともに気候変動対策にも大きく貢献できる。同社においては、今後2030年までは世界の自動車需要の増加によりダイカストの需要も伸長すると捉えており、電動車向けの部品受注により成長を確保していく戦略だ。内燃系を持つ自動車(ICE、HEVなど)向けも一定割合で持続すると考えており、既存の顧客基盤、ビジネス領域を活かしながら電動化のニーズを取り込み、成長を確保する。加えて、足元では自動車メーカーが自社工場内で内製していた独自仕様の部品を、電動化の進展によりアウトソーシングする動きも出てきており、そうした受注増加の機会も捕捉していく。現状では、同社の新規受注製品や量産化する製品の多くは電動車搭載部品であり、2025年度の電動車搭載部品売上比率はダイカスト事業売上高の30%を見込み、2030年度には55%まで引き上げる計画だ。また、2030年以降に向けて、従来のパワートレイン系部品だけでなく、電動化関連部品や足回り部品など構造部品分野といった、これまでダイカスト化が進んでいない領域での需要の創出と受注確保を着実に進めていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
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