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エレマテック Research Memo(7):中期経営戦略を展開中。重点市場深耕に加え、資本コストを意識した経営を推進


エレマテックは最新の中期経営戦略「エレマテック・プロプラス」の下で、成長と資本コストへの配慮を両立させる新たなビジネス方針を展開しています。ここでは、外部環境の変動や顧客ニーズの複雑化を考慮し、北米や欧州市場への新規参入をはじめ、ASEANでの現地供給調達の改善策を見直し、各部門の連携強化に焦点を当てています。同社はまた、自社の持続可能性と人的資本への取り組みを前進させながら、既存の基盤を拡大する方針です。具体的には、自動車関連業界での高付加価値提案や、新興企業との戦略的なM&Aを活用し、顧客基盤を拡大しています。これにより、2026年3月期までに年平均成長率10%以上を目指し、オートモーティブ、アフターマーケット、医療機器を重点市場と位置づけています。

*15:07JST エレマテック Research Memo(7):中期経営戦略を展開中。重点市場深耕に加え、資本コストを意識した経営を推進 ■エレマテック<2715>の中長期の成長戦略

1. 中期経営戦略「エレマテック・プロプラス」の基本方針
同社では、2023年3月まで進めてきた「エレマテックNEXT」に引き続き、中期経営戦略「エレマテック・プロプラス」(2024年3月期~2026年3月期)を発表しており、以下がその概要である。

(1) 外部環境と挑戦課題
同社では、外部環境の動向として、「地政学リスクと内外マーケットの変動」「顧客ニーズの高度化・多様化」「サステナビリティ課題への関心の高まり」「働き方の変化とダイバーシティの伸展」を挙げている。このような外部環境を踏まえて、以下の挑戦課題を掲げている。

a) 成長とリスク分散の観点から日本・中国以外での事業を拡大する
・北米・欧州へのリソース投入
・ASEANでの調達代行からの脱却

b) 開発部の機能強化と各部門の連携強化、外部資源の獲得を目指す
・取引先軸、商品軸での取り組みの強化
・中長期トレンドの継続的フォローと投融資の拡大

c) 地球環境への配慮と社会課題解決への取り組みを強化する
・本業を通じたサステナビリティ課題解決への貢献
・顧客の環境配慮重視を踏まえた仕入先への支援

d) 個々がやりがいを持ち、自己表現できる体制を構築する
・ダイバーシティ&インクルージョンの推進
・従業員エンゲージメントを高める教育・研修・配属の仕組みづくり

(2) 重点施策と定量的目標、重点市場
中期経営戦略の基本方針としては、「前施策は継続進化させ、新中期経営戦略では経営基盤の拡大・強化を進めつつ、ポテンシャル分野に挑戦する」ことを掲げている。これに基づき、以下の4つの重点施策を推進する。

a) 重点施策
(ポテンシャル分野の開拓・深耕として)
・ポテンシャルエリアの本格開拓
・開発部の機能強化
(経営基盤の拡大・強化として)
・M&A・アライアンスによる顧客基盤・事業領域の拡大
・サステナビリティと人的資本への取り組み

b) 定量的目標と重点市場
定量的目標としては、「2023年3月期から2026年3月期までの当期利益※年平均成長率(CAGR:Compound Average Growth Rate)を10%以上とする」としている。この目標を達成するための重点市場として、「オートモーティブ」「アフターマーケット」「医療機器」の3つを挙げている。

※ 当初は「経常利益」であったが、IFRS適用に伴い、目標を「当期利益」に変更した。


各種取り組みは着実に進捗中

2. 各種計画の進捗状況
(1) 高付加価値型ビジネスの強化/自動車領域への注力
これまでの部材単体での提案から、モジュール提案による案件の高付加価値化を促進している。具体的な事例としては、自動車領域における新規顧客のEMCフィルター※案件がある。同社の技術力や、専門性の高い品質保証部門・グローバルなネットワークといった強みを活かし、積極的なモジュール化提案を行った結果、案件の大型化・高付加価値化を実現した。

※ EV車などにも使用される、電磁波干渉を抑制するためのフィルター。

(2) M&A・アライアンスによる顧客基盤・事業領域の拡大
持続的な成長に向け、積極的な投資を推進している。直近では以下の2つのマイナー出資を実行した。

【Esperanto Technologies Inc.】
2024年10月2日にEsperanto Technologies Inc.(以下、ET社)への出資を発表した。同社の強みであるネットワークを活用し、ET社製品の日本での展開を推進していく。ET社は米国シリコンバレーに本社を置くスタートアップ企業で、AI向けRISC-Vベースプロセッサの供給・提供を行っている。日本の先端半導体メーカーであるRapidus(株)と半導体の設計開発で協業している。ET社製品は、低放熱・低騒音の特徴を持ち、高性能を維持しつつ、消費電力を低く抑えられるため、ローパワー稼働が可能になる。

【MEDIROM MOTHER Labs】
2024年10月29日にMEDIROM MOTHER Labs(以下、MM社)との資本業務提携契約の締結を発表した。今後は同社のグローバルなネットワークを活かし、安定的な部材調達のサポートを行う。MM社は、メディロムグループの子会社で、ヘルステック事業を中心に事業展開している。ヘルスケアアプリを利用した体質改善プログラムや、24時間365日充電不要のトラッカー「MOTHER Bracelet」を開発し提供している。介護・流通・デベロッパーなど、BtoB向けに各種ソリューションを展開している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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