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NexTone Research Memo(4):コンテンツの著作権管理から利用促進まで一気通貫で手掛ける(2)


NexToneは、日本の著作権管理分野でJASRACと並ぶ存在として、新規参入が難しい市場において確固たる地位を築いています。著作権管理から楽曲の利用促進までを一貫して手掛け、収益モデルを安定的なストックビジネスに基づいています。その契約形態は委託契約であり、著作権者が自身の権利を保有したまま管理を委託できるため、シンガーソングライターなどに支持されています。近年、JASRACからNexToneに移行するアーティストが増加しています。JASRACとは異なり、自身の楽曲を演奏する際の利用料は発生しません。市場シェアの拡大を目指し、NexToneは著作権管理を基にした音楽配信サービス提供を進め、利益の最大化を図っています。国内音楽市場の拡大が追い風となる中、NexToneは変化する市場環境に対応し、継続的な成長を狙っています。

*16:14JST NexTone Research Memo(4):コンテンツの著作権管理から利用促進まで一気通貫で手掛ける(2) ■NexTone<7094>の事業概要

5. 同社の強み
同社の強みは、新規参入障壁が高い事業であること、著作権の管理から楽曲の利用促進まで一気通貫で手掛けていること、及び売上の大半が安定的なストックビジネスであること、と考えられる。

2001年の著作権等管理事業法の施行に伴い20数社の民間企業が新規参入したものの、現在では同社以外の全社が事業から撤退あるいは縮小しており、実質的には同社とJASRACの2社寡占体制である。著作権管理は、日々の膨大な著作権利用にかかるデータや情報のシステム管理能力及び、有力著作権者からの安定的かつ継続的な楽曲管理委託が必要であるため、収益化には多くの時間と先行投資を要し、新規参入障壁が高い事業であると言える。その点、同社は早期からシステム投資を積極的に行い、音楽業界において長期的かつ幅広いリレーション及びネットワークを構築しており、JASRACに対抗することができる唯一の存在である。

同社とJASRACの大きな違いは契約形態の違いにある。JASRACでは信託契約であり、著作権者は楽曲の著作権をJASRACに譲渡する必要がある。たとえば、自分で作成した楽曲であっても、自身がライブやコンサートで演奏するときには毎回利用料が発生する。しかし同社では委託契約の形を取っており、著作権は著作権者が保有したまま管理を委託することができる。特にシンガーソングライターなど楽曲を自作しているアーティストからは、同社の管理手法や理念から選ばれる傾向にあるようで、足元では著作権管理をJASRACから同社に移行するアーティストが増加していると言う。2024年3月期の著作権使用料徴収額は、JASRACが1,371.6億円、同社が115.5億円、市場シェアはJASRACが92.2%、同社が7.8%であり、同社のシェアが徐々に拡大している。

また、同社は著作権管理事業により得た楽曲の利用データを活用し、音楽配信事業者への原盤供給、音楽コンテンツの利用促進のコーディネートなどのキャスティングなどにつなげている。これにより楽曲の浸透速度が加速し、コンテンツ当たりの売上を最大化している。著作権の管理から楽曲の利用促進まで一気通貫で手掛けているのは同社のみであり、他社との大きな差別化となっている。

さらに同社が展開する著作権管理事業、DD事業、音楽配信事業における売上高の大半は、安定的なストックビジネスにより構成されており、著作権管理楽曲数及び取扱原盤数の増加により、利益が積み上がる構造となっている。国内の音楽市場は、ストリーミング音楽配信サービスをはじめとするインターネットサービスの成長に伴い拡大基調が続いており、市場拡大を追い風として、継続的な利益拡大を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)

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