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シュッピン Research Memo(1):「時計事業」が苦戦するも、「カメラ事業」はAI活用などが奏功して順調に拡大


*12:01JST シュッピン Research Memo(1):「時計事業」が苦戦するも、「カメラ事業」はAI活用などが奏功して順調に拡大 ■要約

シュッピン<3179>はカメラや高級腕時計など「価値あるもの」に特化したEC(eコマース)企業。中古品と新品のそれぞれのニーズの違いや商品特性の違いを活かし、中古品と新品が相互に作用し合いながら会員基盤の拡大や業績の伸びを実現してきた。最近では、独自のEC買取やOne to One マーケティング、CGMの活用などにも取り組み、プラットフォーム型事業モデルとして進化を続けている。この数年間は、新型コロナウイルスの感染拡大(以下、コロナ禍)により店舗売上が低調に推移したほか、戦略的な在庫投資に取り組んできた「時計事業」については、世界的な価格相場の下落を受けて一時的に落ち込んだものの、主軸である「カメラ事業」はAI活用による新たな機能の導入※などによりECを軸に順調に伸びており、事業モデルの進化という点においては明らかに一段上のステージに入ってきたと言える。

※AIMD(AI技術を用いたマーチャンダイジングシステム)や、AIコンテンツレコメンド(同社が作成し保有している大量のコンテンツ記事をAIが顧客の嗜好性分析して配信)など。


1. 2023年3月期の業績
2023年3月期の業績は、売上高が前期比5.0%増の45,618百万円、営業利益が同21.6%減の2,463百万円と増収減益となったが、売上高は過去最高、営業利益は過去2番目の水準を確保した。主力の「カメラ事業」については、AIを活用したOne to One マーケティングが奏功したことや、カメラメーカー各社からの大型新製品の販売により市場全体が活況を呈したことも手伝って大きく拡大した。ただ、もうひとつの柱である「時計事業」が、中国のロックダウンなど国際情勢等の影響を受けて免税売上(店舗売上)が低調に推移したことに加え、グローバル価格相場の大幅な下落により落ち込んだ。もっとも、足元では「時計事業」も回復傾向にあるようだ。利益面でも、「カメラ事業」が高い売上総利益率を維持した一方、「時計事業」における赤字販売の実施や商品評価損の計上などが利益を圧迫し営業減益となり、営業利益率も5.4%(前期は7.2%)に低下した。活動面では、越境ECの強化やレディースブランドサロン「BRILLER(ブリエ)」のリニューアルオープンなど、将来を見据えた取り組みにおいて一定の成果を残すことができた。

2. 2024年3月期の業績予想
2024年3月期の業績について同社は、売上高を前期比9.7%増の50,028百万円、営業利益を同26.8%増の3,122百万円と増収増益を見込んでいる。引き続き好調な「カメラ事業」がECを軸に増収に大きく寄与する。一方、前期に落ち込んだ「時計事業」については、価格相場に回復の兆しがあるうえ、インバウンド需要(免税売上)の戻りも期待できるものの、保守的な水準(若干の減収)を想定している。利益面でも、「カメラ事業」の伸びや「時計事業」の損益改善が増益に大きく寄与する。特に、AIMDの導入効果(バージョンアップを含む)に加え、「時計事業」の一過性要因(赤字販売の実施や評価損の計上)の解消により、売上総利益率は18.0%(前期は17.0%)にV字回復する想定である。また、販管費については、今後の事業拡大に向けた人的資本の強化や基幹システムの更新などに伴い増加するものの、売上総利益の伸びで吸収することで営業増益を実現し、営業利益率も6.2%(前期は5.4%)に改善する。

3. 今後の成長戦略
同社は、毎年、向こう3ヶ年の中期経営計画を更新(ローリング)しており、2023年5月に新たな中期経営計画を公表した。引き続き、カメラ・時計のさらなる成長と越境ECによるグローバル展開の活性化などに取り組む方向性であり、シェア拡大に伴うEC売上の持続的成長をドライバーとして位置付けている。また、AI活用による利益率の改善とスリムな経営による販管費率の低減により、売上高の成長以上に利益成長を重視する方針としており、最終年度となる2026年3月期の目標として、売上高63,141百万円(3年間の年平均成長率11.4%)、営業利益4,827百万円(営業利益率7.6%)を目指していく。2024年3月期については、AIMDのバージョンアップによるカメラの在庫回転率の改善に加え、「時計事業」についてもMDをサポートするAIシステムの構築により相場変動に左右されない「仕組み化」などに取り組む。

■Key Points
・2023年3月期は増収減益ながら過去最高の売上高、過去2番目の営業利益水準を確保
・世界的な価格相場の下落により「時計事業」が落ち込むも、足元では回復傾向
・2024年3月期は「カメラ事業」の成長と「時計事業」の損益改善により増収増益を見込む
・中期経営計画では、カメラ・時計のさらなる成長と越境ECによるグローバル展開の活性化にも取り組み、EC売上の持続的成長とAI活用による利益率の改善を実現していく方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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