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EG Research Memo(3):「AIと人」による低コスト・高品質サービスが強み


■イー・ガーディアン<6050>の会社概要

2. 事業概要
売上高の主力はソーシャルサポート業務とゲームサポート業務であり、2業務で全社売上高の7割以上(74.9%)を構成する。アド・プロセス業務の売上高構成比は11.4%。M&Aもありサイバーセキュリティ業務の存在感も増している(同6.0%)。その他業務はハードウェアに対するデバッグ業務などである(同7.7%)。

(1) ソーシャルサポート業務
ソーシャルサポート業務は、投稿掲示板やEC、SNS、シェアリングサービスなどを対象に監視・カスタマーサポート、運用、分析といった多種多様な業務を代行する。厳選された人材による監視サービス(有人監視)が基本であるが、その効率を上げるために専門特化した監視ツール(システム監視)も併用される。独自開発されたAI判別システムは低コストかつ高品質なサービス提供をするうえで武器になっている。従来からの監視系の業務に加え、カスタマーサービスの代行や金融系サービスの本人認証サービスといったカスタマーサポート系業務も増えている。5G時代に入り、動画プラットフォームの監視業務が成長に寄与している。2022年9月期第2四半期の売上高は3,254百万円、前年同期比で34.4%増と成長率が高い。

(2) ゲームサポート業務
ゲームサポート業務は、オンラインゲームを運営するクライアントへの、問い合わせ対応をはじめとする運営サポートのほか、デバッグ等の周辺業務を、EGテスティングサービスを中心に展開する。ゲームをリリースする前に行うデバッグ作業からリリース後の問い合わせ対応まで提供できる体制を整え、他社との差別化を狙う。近年は国内のゲーム会社の業務がダウントレンドだったが下げ止まりの兆しが見えてきた。中国や韓国など海外のゲーム会社の日本進出などによりグローバルな業務が増える傾向にあり、フィリピンおよびベトナムの拠点も活用する。2022年9月期第2四半期の売上高は1,045百万円、前年同期比で7.0%減となった。

(3) アド・プロセス業務
アド・プロセス業務は、広告審査業務をはじめ、広告枠管理、入稿管理、広告ライティング等の業務を提供する。同社センターで請負う場合と派遣・常駐する場合がある。広告関連の業務は、従来、労働集約的な面が強かったが、同社独自のAIシステムやRPA(Robotic Process Automation)を活用し生産性が向上している。近年は、成長が続く動画市場において、動画に掲載される広告に対する審査業務が増加している。電通グループであるCARTA HOLDINGSとの合弁会社であるビズテーラー・パートナーズ案件の拡大が成長に寄与しつつある。2021年9月期第2四半期の売上高は655百万円、前年同期比で15.6%増となった。

上記3業務の業務モデルの特長は、対応量(件数)に応じた課金体系であり、リーズナブルな料金で専門的なサービスを提供でき、導入までのスピードが速いことである。

(4) サイバーセキュリティ業務
サイバーセキュリティ業務は、セキュリティ業界の第一人者である徳丸浩氏率いる専門家集団による脆弱性診断やセキュリティ対策サービス、ソフトウェア型WAF(SITEGUARDシリーズは100万サイトを超える導入実績)、クラウド型WAFおよびコンテナ型WAF(国内初のコンテナ型WAFである「GUARDIAX」を開発)などを擁し、総合的なサイバーセキュリティサービスを行う体制を整えた。サーバー攻撃の増加などサイバーセキュリティ需要は拡大しており、さらなる成長が期待できる。2022年9月期第2四半期の売上高は344百万円、前年同期比で9.2%増と拡大した。

(5) その他業務
その他業務には、ハードウェアのデバッグ事業(EGテスティングサービス)、人材派遣業務などが含まれる。2022年9月期第2四半期の売上高は440百万円、前年同期比で32.5%増となった。

3. 強み
同社の業務は人材による監視サービス(有人監視)から始まっており、現在でもその基本は変わっていない。以前からシステム化が行われており、2000年代から、あらかじめ登録しておいたNGワードをハイライト表示する機能などは使われていた。2010年代に入り、AI型投稿監視システム「E-Trident」や人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」が併用されるようになると、業務は格段に進歩し、他社にはない低コスト及び高品質が実現できるようになった。また、2018年からは、自社開発のRPAを活用した業務の自動化に本格的に取り組んでいる。特にアド・プロセス分野では、広告代理店・メディア運営企業の働き方改革、労働時間縮小の潮流があり、RPAを活用した業務効率化のニーズが高い。2019年には、Hmcomm(株)と連携、AI音声認識の活用によりリアルタイムで動画監視をするシステムを開発し、活用が始まっている。このように同社の強みは、「人」が運用ノウハウやデータを蓄積し、それを活用して独自開発した「AI・システム」により運用を効率化することで、低コストで高品質なサービスを提供できる点にある。結果として高い収益性(2022年9月期第2四半期の売上高営業利益率は20.6%)が実現している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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