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イチネンHD Research Memo(3):2022年3月期は各利益で2ケタ増。すべてのセグメントで増収達成


■業績動向

1. 2022年3月期の業績概要
イチネンホールディングス<9619>の2022年3月期の業績は、売上高が120,644百万円(前期比7.1%増)、営業利益が8,623百万円(同14.7%増)、経常利益が8,728百万円(同16.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が5,646百万円(同87.2%増)となった。親会社株主に帰属する当期純利益が大幅増益となったのは、前期に自動車リース関連事業における基幹システムの開発中止等に伴う固定資産除売却損2,483百万円を特別損失に計上したことによる。

セグメント別状況では、売上高は、すべてのセグメントで増収となった。セグメント利益は、機械工具販売が販管費の増加により減益となったが、それ以外は増益となった。特にパーキングと合成樹脂は、前期の反動増もあるものの、回復が大きかった。

(1) 自動車リース関連事業
自動車リース関連事業のセグメント売上高は53,841百万円(前期比4.1%増)、同利益は5,240百万円(同10.0%増)となった。

リース事業では、比較的競合の少ない地方市場及び中小口企業への拡販、既存顧客への取引深耕を積極的に進めたことなどから契約数は順調に拡大、期末の契約台数は89,973台(前期末比2,719台増)、リース契約高は36,595百万円(前期比5.6%減)、リース未経過契約残高は84,022百万円(前期末比3.7%増)となった。

自動車メンテナンス受託では、独自の自動車整備工場ネットワークによる高品質なメンテナンスサービスを強みとしながら、さらなる契約台数及び契約残高の増加に努めたが、大口契約先の受注台数が減少したことやコロナ禍の影響もあり、メンテナンス受託契約台数は82,975台(前期末比1,888台減)となった。メンテナンス受託契約高は6,458百万円(前期比14.3%増)、メンテナンス未経過契約残高は8,627百万円(同4.3%増)となった。利益面では主力である自動車リースの販売が増加したことに加え、車両処分の販売単価が増加したことにより利益は増加した。

燃料販売では、低燃費車の普及により全体の需要は減少傾向にある。カード発券枚数は減少したが、既存顧客へのサービス向上並びに新規顧客の獲得に注力したことで販売数量は増加した。車両販売では、コロナ禍の影響で中古車価格が上昇したことから、採算は大きく改善した。車体修理管理サービスの売上台数は7,711台(前期末比555台増)、売上高は963百万円(前期比7.1%増)と増加した。利益面では燃料販売は前期に仕入価格が下落して大幅利益増となったことの反動により利益は減少した。

(2) ケミカル事業
ケミカル事業は、セグメント売上高は11,573百万円(同3.1%増)、セグメント利益は1,213百万円(同2.7%増)となった。商品開発力の強化及び品質向上に取り組むとともに、付加価値の高い商品の販売に注力した。販売面では、化学品関連の自動車整備工場向けケミカル製品及び機械工具商向けケミカル製品の販売、一般消費者向けケミカル製品の販売並びに工業薬品関連の燃料添加剤及び石炭添加剤の販売は順調に推移した。一方で、船舶用燃料添加剤の販売は低調に推移した。

(3) パーキング事業
パーキング事業のセグメント売上高は5,571百万円(同9.5%増)となり、セグメント利益は473百万円(同103.1%増)と大幅増益となった。なお、同事業は固定費率の高い事業であるため、売上高が落ちると利益の落ち込みも大きくなる特徴がある。中長期的に安定した収益基盤を築くために積極的な営業活動を継続して行ったこと、新規連結子会社となったオートリが寄与したことなどから、2022年3月末現在駐車場管理件数は1,716件(前期末比256件増)、管理台数は37,150台(同3,830台増)となった。

(4) 機械工具販売事業
機械工具販売事業のセグメント売上高は35,272百万円(同4.1%増)、セグメント利益は690百万円(同22.5%減)となった。さらなる事業規模の拡大並びに収益性の向上を実現させるため、取扱アイテムの拡充、自社オリジナル製品の開発・販売の強化、商品調達コスト及び物流コストの低減に努めた。向け先別では、自動車整備向け、建設機械部品向け、空調向けなどが比較的堅調であった。また、注力しているネット販売も、まだ目標とする利益化には届いていない。利益面では、建設機械部品や比較的利益率の高い空調用工具の販売が順調に推移したが、東京物流センターの新設に伴い賃借料等の販売費及び一般管理費が増加した。

(5) 合成樹脂事業
合成樹脂事業のセグメント売上高は14,203百万円(同26.6%増)、セグメント利益は1,126百万円(同82.5%増)となった。遊技機の新基準機への移行に伴う入替需要の増加により、遊技機メーカーへの合成樹脂製品の販売が大幅に増加した。また、科学計測器の販売並びに半導体実装装置メーカー等へのセラミックヒーターの販売も堅調に推移した。

(6) その他
その他事業のセグメント売上高は1,151百万円(同278.5%増)、セグメント損失は139百万円 (前期は185百万円のセグメント損失)となった。農業においては、農作物の販売数量が減少したが、販売単価は上昇した。また、2021年10月に新規連結子会社となった新光硝子工業及び新生ガラスが販売増加に寄与した。損益面では、農業において、前期にコロナ禍の影響で在庫評価額を切り下げたことの反動により、前期比で損失幅が縮小した。また、新光硝子工業及び新生ガラスが利益増に寄与した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)


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