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ナック Research Memo(3):クリクラ事業の好調により利益が拡大


■業績動向

1. 2020年3月期決算はクリクラ事業の好調目立つ
2020年5月15日に発表されたナック<9788>の2020年3月期決算は売上高こそ88,222百万円(前期比1.0%減)と微減収となったが、営業利益2,118百万円(同3.9%増)、経常利益2,098百万円(同0.8%増)と、期の終盤にコロナ禍がありながらも増益を確保した。親会社株主に帰属する当期純利益は514百万円(同35.6%減)と減益となったものの、これは子会社の減損処理を実施したことが背景にある。

セグメント別に整理してみると、クリクラ事業は、ボトル価格改定効果があって売上高・営業利益ともに伸長。さらに、新型サーバーを投入した効果も収益に貢献した。さらに、コロナ禍の影響で自社製次亜塩素酸水溶液「ZiACO」の売上増が寄与する形となった。同事業のセグメント営業利益は前期の788百万円から1,030百万円に拡大、全体を押し上げる格好となっている。

レンタル事業では、ダスキン事業が新規出店を通じた商圏拡大、既存顧客の深耕によって好調に推移したが、新規出店と販売促進体制の強化に伴い、販売費及び一般管理費が増加、利益面を圧迫した。レンタル事業のセグメント営業利益は1,844百万円(前期比7.7%減)と減益を余儀なくされた。

建築コンサルティング事業は、最もコロナ禍の影響を受けたセグメントとなった。この分野は、売上高が期末に集中する傾向にあり、その期間に、集客イベントの開催自粛を余儀なくされた。そのため、建築コンサルティング事業のセグメント営業利益は、当初800百万円を見込んでいたものの、730百万円(同3.1%減)にとどまった。

住宅事業は引き続き厳しい状況となった。前期のレオハウスとジェイウッドの受注残減少を、新規の受注でカバーしきれなかったが、人件費や管理費の抑制に努めた結果、営業損失は前期の694百万円から545百万円に縮小した。

美容・健康事業では、主力の化粧品会社JIMOSの自社ECサイトにおいて使用しているサーバーへの不正アクセスが発覚、8月よりECサイトを停止したことで、計画を大きく下回った。当期のセグメント営業利益は125百万円(前期比50.9%減)と利益が半減した。

全体としては、クリクラ事業において新サービスの提供、サーバー転換などのビジネス展開によって利益を確保、ほかの伸び悩んだ分と住宅の不振をカバーした。多角化によるリスク分散が功を奏し、今後はレオハウス譲渡後に収益構造がどのように変化するかが注目されそうだ。

2. 2021年3月期は減収増益を見込む
2020年9月14日に発表された2021年3月期の見通しは、売上高56,000百万円と前期比36.5%の減収を見込んでいる。これは前期まで収益の大きな足かせとなっていた、住宅事業の100%子会社だったレオハウスをヤマダ電機に譲渡したためである。今後はその分の収益改善が見込まれるものの、コロナ禍の影響もあり2021年3月期の営業利益は前期と同水準の2,000百万円を予想している。また、親会社株主に帰属する当期純利益は1,350百万円と、前期実績の514百万円から大幅増益としている。

住宅以外の事業においては、コロナ禍の影響が気になりながらも、カバーできる要因もある。例えば、クリクラ事業においては、オフィス需要は低下しても、テレワーク化の推進等で家庭用需要が増加。現在、家庭顧客の割合が法人顧客を上回っている状況で、法人顧客は単価が大きいが、単純に1人当たりの水を飲む量が変わらないとすれば、トータルでは大きな変化は生じないだろう。

一方、自社製次亜塩素酸水溶液「ZiACO」については、今後も需要が拡大していくものと見られる。コロナ禍が去った後でも、感染予防に対するニーズは残ると見られ、今後の期待商品となりそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)



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