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ダイコク電 Research Memo(8):市場環境に影響を受けない収益構造の確立を目指す


■今後の戦略的方向性

ダイコク電機<6430>は、規則改正などパチンコ業界を取り巻く環境の変化に対して、中長期的には業界がさらに幅広く社会に支持される産業へ進化する好機と捉えている。特に、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」及び次世代製品群によるシェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値の創出により、業界の発展に貢献すると同時に、同社自身の成長力及び収益力の向上へと結びつける方針である。

1. 情報システム事業
市場における投資意欲は、しばらく消極的な姿勢が続くことが予想される一方、今回の「新規則」により、遊技機の入れ替えに伴う設備機器の需要が徐々に動き出していることから、市場変化に柔軟に対応しながら、シェア拡大と新規ファン獲得に貢献できる製品・サービスの開発を目指していく方針である。具体的な対応・施策として以下の3つを挙げている。

(1) これまで同様、CRユニット及び情報公開機器などの各種製品の拡販とストック型ビジネスモデル(MGサービス)の拡大により、シェア拡大と収益構造の転換を図っていく。特に、MGサービスの提供を通じて、顧客であるパチンコホールの競争力の向上と省力化に貢献し、顧客の囲い込みと業績の安定化の両方を実現する。

(2) 「新規則」に伴う業界変化に柔軟に対応した製品・サービスをタイムリーに市場に投入していく。業界変化をビジネスチャンスと捉え、ファン向け各種情報提供サービスの拡大など、新規ファン獲得(離反した顧客の呼び戻しや新規顧客の掘り起こし)に貢献できる製品・サービスの開発を目指す。

(3) 「新規則」に対応したAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の普及を推進するとともにホール経営の効率化・省力化に向けた継続的な投資を推進することで、ビジネスモデルの革新を図っていく。

2. 制御システム事業
市場は、遊技機の開発コスト低減への志向を強めるとともに、今後の市場環境の変化に対応した新たな提案へのニーズが高まり、企画力がより重要になっているなかで、情報システム事業との連携による差別化戦略と市場環境の変化への迅速な対応、業務効率の向上に取り組む方針である。具体的な対応・施策として以下の3つを挙げている。

(1) 娯楽性に重点を置き、新規則に適したゲーム性の創出による遊技環境の活性化に注力することで、パチンコホールの稼動に貢献する。

(2) 遊技機メーカーの要望に迅速に対応し、自社のコスト削減、短期開発、品質保証体制の構築を推進するとともに、顧客の開発期間の短縮やコスト削減、品質向上にも貢献する。

(3) 情報システム事業の保有する「DK-SIS」データ及び「Fan-SIS」データを活用し、新たな遊技価値を生み出す企画提案の実施と事業領域の拡大に取り組む。

弊社でも、パチンコ業界が大きな転換期を迎えているなかで、その影響により足元の収益環境には依然として不透明感が残っているものの、中長期的に見れば、付加価値の高い次世代製品群をはじめ、将来を見据えたAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」が順調に立ち上がってきた同社には大きなアドバンテージがあるものとみている。特に、同社ならではのサービスやデータ分析による経営支援及び価値提案は、今後の業界の進むべき方向性に合致したものと評価できる。仮に、市場がしばらく縮小傾向をたどったとしても、付加価値の高い「次世代製品群」の本格稼動により既存店向けの入れ替え需要を取り込みながら、持続的な成長を実現することは可能であるとみている。また、パチンコホールも資本力のあるところを中心に勝ち残り、二極化がさらに進む可能性が高く、そうなってくれば、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」による囲い込みや市場シェアの拡大を目指す同社にとってプラスに働くものとみている。

外部環境の影響を受けやすい売上高の伸びについては、当面、慎重に判断する必要があると捉えているが、市場環境の変化に対応した製品・サービスの開発やMGサービスの拡大などによる収益性の向上に注目すべきであろう。また、中長期的な視点からは、「新規則」機への全面移行による新たな時代を迎えるにあたって、業界全体の活性化に向けた取り組みにも期待している。具体的には、パチンコホールや遊技機メーカーにとどまらず、パチンコ・パチスロファン、アミューズメントファン、新たなファン層にも直接的に働きかける活動(スマートフォンアプリによる会員向け情報提供のほか、ホールに誘導する仕掛け等)などに注目したい。さらには、次世代ホールコンピュータなどへの大型投資が一巡し、回収期に入ってきたなかで、異業種を含めたM&Aの動きにも注意する必要があるだろう。特に、同社のデータを活用するノウハウは横展開が可能であるため、新たな収益源の獲得やリスク分散を図るためにも、重要な戦略として捉えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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