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富士ソフト Research Memo(4):多彩かつユニークなICTサービス・プロダクトを提供(2)


■富士ソフト<9749>の事業内容

4. クラウドサービスとの競合が続くアウトソーシング
アウトソーシングは、データセンターやシステム運用・保守等のサービスを提供しており、売上高構成比は7.4%(2018年12月期)、営業利益構成比は9.0%(同)である。2018年12月期のセグメント利益率が6.8%と上昇している理由は、2017年12月期に増加したデータセンター改修費用が減少に転じたことなどによる。近年の減収傾向は、流通・サービス向け継続案件の減少によるところが大きく、2019年12月期上期も6.3%減収、12.9%減益となっている。2019年12月期上期末の受注残高の持ち直し(前年同期比で7.9%増、前期末比で21.6%増)はシステム運用・保守の回復によるところが大きく、他社クラウドサービスとの競争が厳しいデータセンター事業については、引き続き底入れ模索局面にあると考える。

5. 高収益のファシリティ事業
保有するオフィスビルの賃貸を収入とするファシリティ事業の売上高構成比は1.4%(2018年12月期)、営業利益構成比は9.9%(同)で、セグメント利益率は38.9%(同)と高い。2019年12月期上期は2.4%減収ながら17.9%増益を確保し、同社の利益水準を安定的に下支えしている。なお、セグメント利益率は43.3%と前年同期比で7.5ポイント上昇、2018年12月期比でも4.4ポイント上昇と一段と良化している。

有価証券報告書で確認できるファシリティ事業向け保有不動産は、横浜本社(土地取得年:2000年、土地建物簿価:11,399百万円)、秋葉原オフィス(同:2005年、同32,635百万円)、錦糸町オフィス(同:2000年、同6,065百万円)、門前仲町オフィス(同:2003年、同1,760百万円)の4棟である。

6. その他に分類される再生医療事業においてインプラント型再生軟骨の成功認定を獲得
その他の売上高構成比は5.9%(2018年12月期)、営業利益構成比は5.0%(同)である。子会社富士ソフトサービスビューロ<6188>が手掛けるBPOサービス事業やコンタクトセンター事業の好調が近年の増収要因となっている。2019年度上期も同様の傾向が続くなかで14.2%増収、43.3%増益と大幅な伸長を実現、セグメント利益率は7.7%と前年同期比で1.5ポイント上昇、2018年12月期に対しては3.0ポイント上昇している。

2005年11月に東京大学医学部附属病院で「軟骨・骨再生医療寄付講座」を開講し、2007年より独立行政法人科学技術振興機構の委託(2015年4月からは国立研究開発法人日本医療研究開発機構より委託)を受けて取り組んでいる再生医療事業は、一見飛び地参入に見えるが、医療分野におけるICT利活用の有効性に着目した「挑戦と創造」である。

同社は、東大からの技術移転を受けた研究開発により世界初の自己細胞による「インプラント型再生軟骨」の開発に成功し、2015年から鼻の外観と機能改善を目指した口唇口蓋裂患者治療への有効性・安全性を評価する企業治験を進めてきた。そして、2018年9月にインプラント型再生軟骨の成功認定を獲得、2019年中の製造販売の事業化と5年目の40億円の売上獲得を目指している。

7. 「AIS-CRM(アイスクリーム)」を事業戦略に新製品・新事業の創出に挑戦
同社は「AIS-CRM」(A:AI / I:IoT / S:Security / C:Cloud computing / R:Robot / M:Mobile&AutoMotive)を重点技術分野に揚げ、付加価値向上に取り組んでいる。一見、流行り言葉の羅列のようだが、「AIS-CRM」の上位概念には、同社のコアコンピタンスが据えられており、新製品・新事業のシーズが生み出されることに期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)




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