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サムティ Research Memo(8):新体制の下、新中期経営計画を推進。よりバランスシート重視の経営に


■成長戦略

1. 中期経営計画
サムティ<3244>は、2016年11月期から2020年11月期までの中長期経営計画(5ヶ年)を推進してきたが、前期(2018年11月期)において利益計画を2期前倒しで達成したことから、新たに2021年11月期を最終年度とする中期経営計画「サムティ強靭化計画」を公表するに至った。重点戦略には、1)SRRを中心としたビジネスモデルの展開(フィー収入ビジネスの強化)、2)地方大都市圏における戦略的投資(営業エリアの拡大)、3)ホテル開発・オフィス開発事業の展開を掲げており、方向性に大きな変更はない。ただ、ポイントと言えるのは、将来的な調整局面に備えるため、バランスシート重視の経営をより強く打ち出しているところであり、賃貸キャッシュ・フローを中心とした財務基盤の強化を最大のテーマに置いている。自己資本比率30%以上を維持しつつ、同時に持続的な成長を実現する考えであるが、あえて売上高目標を設定せず、生産性や資本効率性を重視することにより、営業利益200億円水準、ROE15.0%水準、ROA7.0%水準を目指していく。

2. 新たな経営体制の構築
経営トップの若返りを図り、更なる成長と企業価値向上を目指すため、社長交代を伴う新たな経営体制を構築した。これまで常務取締役であった小川靖展氏が代表取締役社長に就任する予定である(2019年2月27日付)。また、多様な人材確保や情報の収集・発信機能等の強化・迅速化を図る目的で、東京本社を設置し、二本社制とするとともに、社長室の新設や経営企画部を社長直轄とするなど、より迅速な経営判断や指揮命令を行うための組織変更などにも着手した。

3. 重点戦略の方向性
(1) SRRを中心としたビジネスモデルの展開(フィー収入ビジネスの強化)
引き続き、積極的な物件供給を継続することにより、SRRの資産積み上げを促進する。また、開発販売用不動産のラインナップにホテル・オフィスを追加するとともに、SRRに加え、新たな運用ファンド等の立ち上げを検討し、獲得フィーの増大を図る。さらには、ホテルマネジメント業務を内製化※し、MCフィーを獲得する仕組みを作るほか、賃貸収益の拡充、海外収益の獲得等により、フィー収入ビジネスを強化する。

※外部の運営会社に委託されているホテルマネジメント業務を内製化し、ホテルの販売後も、サムティグループがホテルマネジメント業務(MC)を受託し、フィー収入の獲得、アップサイドの享受、運営ノウハウを蓄積する仕組みを作る。


(2) 地方大都市圏における戦略的投資(営業エリアの拡大)
3年間で約3,000億円を投資する計画である。特に、同社の新たな成長エンジンとして、ホテル・オフィス開発を推進するとともに、安定的な賃貸収益の獲得のため、収益不動産の取得に1,350億円を投じ、資産の積み上げを行う。また、新たに広島支店や新宿・横浜営業所を開設し、営業エリアの更なる拡大にも取り組み、首都圏及び全国の主要地方都市において、収益不動産の取得、レジデンス・オフィス・ホテルの開発を推進していく。

(3) ホテル開発・オフィス開発事業の展開
ホテルに加え、オフィス開発事業を新たな成長エンジンとし、3年間で約850億円(土地+建築費)を投資する計画である。ホテル開発事業は、現在4つの開発プロジェクトが進行中であり、引き続き、「エスペリアホテル」のブランド名で展開していく。また、オフィスについては、オフィス需要が逼迫している地方の主要都市を中心に、エリア・立地を厳選の上、新規供給・競合が少ないB/Cクラス※の新築オフィスを供給する方針である。

※一般的には、Bクラスが延床面積2,000坪から10,000坪未満(及び基準階面積200坪以上)、Cクラスが延床面積2,000坪未満(及び基準階面積200坪未満)として区分される。


■株主還元

2019年11月期の期末配当についても、利益成長と配当性向の引き上げにより大幅な増配を予定
同社は、株主に対する利益還元を経営の最重要課題の1つであると認識しており、配当についても、業績を反映させるとともに、今後の事業計画や財政状態を総合的に勘案した上で実施する方針としている。

2018年11月期の期末配当については、期初予想(1株当たり52円配当)を大幅に増額修正し、前期比21円増配の1株当たり68円(配当性向24.0%)に決定した。また、2019年11月期の期末配当についても、利益成長や配当性向の引き上げにより前期比7円増配の1株当たり75円(配当性向31.7%)を予定している。

同社は、配当性向30%を目標水準としているが、今後も利益成長による増配余地は大きいとみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)




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