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Fブラザーズ Research Memo(1):2018年11月期は過去最高益更新予想


■要約

ファーストブラザーズ<3454>は2004年2月創業の独立系不動産投資運用会社。2015年2月に東証マザーズに上場、2016年10月には東証1部への市場変更を達成し、2016年11月期からDOE2%を目安に配当を開始した。代表取締役社長の吉原知紀(よしはらともき)氏を始めキーマンに旧三井信託銀行(株)の出身者が多い。不動産私募ファンドの運用会社としてスタートしたが、足元では自己勘定投資に軸足を移して、順調に資産規模を拡大している。

2014年頃から積極化した自己勘定投資は、首都圏の中小規模(10億円前後)の商業ビル、オフィスビルを主な対象とする。東京ビジネス地区(都心5区)の平均賃料は過去3年間で年4.9%上昇、空室率も2.49ポイント低下しており堅調に推移する。2018年11月期第2四半期末の自己勘定投資の残高は、取得価格ベースで25,363百万円(前期末比2,687百万円減)。期中増加額が6,858百万円、期中減少額が9,546百万円。売却が先行したため、一時的ではあるが残高が減少した。こうした中小規模物件はストックや流通量が膨大で、所有者は不動産のプロではない個人富裕層や事業会社などが多いため大型物件と異なり潜在的価値が高い物件を取得できる。安定収益の賃料収入の拡大を図りつつ、バリューアップ後、適宜、物件入替により売却益を実現させていくのが同社の勝ちパターンだ。

2018年11月期第2四半期連結決算は、売上高14,131百万円(前年同期比40.4 %増)、売上総利益3,684百万円(同50.1%増)、営業利益3,047百万円(同68.0%増)、経常利益2,851百万円(同71.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,798百万円(同64.0%増)と大幅な増収増益となった。投資銀行事業において、賃貸不動産ポートフォリオの入れ替えに伴う物件の売却が業績をけん引した。具体的には、売却額が12,956百万円(前年同期は8,950百万円)、売却粗利が3,094百万円(同1,829百万円)であった。また、賃貸粗利は、613百万円(同606百万円)と資産売却が先行したものの前年並みを維持。販管費を91%カバーできる水準である。

2018年11月期連結決算は、売上高22,568百万円(前期比20.3%増)、売上総利益6,538百万円(同38.5%増)、営業利益5,015百万円(同48.7%増)、経常利益4,458百万円(同45.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,815百万円(同37.4%増)と大幅な増収増益を予想する。セグメント別売上総利益の通期予想では、投資銀行事業6,493百万円(同37.9%増)が主力であり、上期の進捗率は56.3%と順調。そのうち不動産賃貸粗利は、下期も積極的な物件取得によるさらなる上積みが見込まれ、また、良好な売却環境のもと、不動産売却粗利も期待できる。通期の販管費の想定は1,523百万円(前期比13.1%増)と抑え目の見込みだが、上期は636百万円(第2四半期進捗率41.8%)と抑制された。このため、営業利益の第2四半期進捗率は60.8%と余裕がある。

同社は、配当による継続的な株主還元を方針としている。配当金はDOE(株主資本配当率)の2%を目安とする。2017年9月には1:2の株式分割を行い流動性も向上した。2018年11月期の配当予想は18円(3円増配)。ROEが25.7%(2016年11月期)、19.1%(2017年11月期)と高いため株主資本の積み上がりは速く、中期的に速いペースの増配が期待できるだろう。

■Key Points
・収益性と流動性が高い首都圏10億円前後の商業・オフィス物件を中心に投資・運用
・東京ビジネス地区(都心5区)のオフィス賃料、空室率は堅調
・2018年11月期は過去最高益更新予想。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の第2四半期進捗率は6割を超える
・自己勘定による不動産投資の拡大が基本戦略。取得と売却の両立に挑む
・2018年11月期は配当18円予想。速いペースの増配が期待できる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



<NB>

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