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テックファム Research Memo(7):IoT案件、車検工程管理システムの売上拡大が見込まれる


■今後の見通し

2. 事業セグメント別の見通し
(1) SI事業
SI事業の売上計画は前期比5%増の3,500百万円だが、第2四半期までの進捗率が56%となっており、受注残も高水準にあることから計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。下期のSI事業の取り組み施策として、受託開発については既存顧客への深耕・横展開に引き続き注力していくほか、マーケティング環境の構築(概算見積メニュー化、サービスメニュー化)を進めることによって、新規顧客の獲得も進めていく。

また、IoT市場の成長を取り込むため、IoTソリューションの取り組みも強化していく。テックファームホールディングス<3625>が開発したIoTプラットフォーム「MoL(Monitoring of Location)」(位置情報ソリューション)をベースとして、ターゲットエリア(工場・倉庫、農業、空港)を絞ったIoTソリューションを様々な業界に提案し、受注獲得を進めていく。IoTソリューション分野では受託開発だけでなく、IoTプラットフォーマーとしても事業を拡大していく考えだ。

「MoL」では、クラウド上であらかじめアプリケーションが用意されているため、スクラッチ開発よりも格段に早く実用化できること、Beacon端末はBluetoothに加え、Wi-FiやRFID、LoRaといった各種無線通信をサポートし、将来の無線方式への変更も可能なこと、設置したBeacon端末の稼働状況やバッテリー残量などを遠隔でモニタリングできるほか、端末の起動・停止などの遠隔制御も行えること、既に運用中の外部システム(社内システム)との連携も可能でシステムの柔軟性が高いことなどが特徴となっている。同事業に占めるIoT/AI関連の売上構成比は前期の約2割から2018年6月期は約3割、2019年6月期は約4割と上昇する見通しで、同領域は収益性も相対的に高いことから、利益率の一段の向上も期待される。

ee-TaB*事業に関しては、「客室オーダー機能」としてレストランでのオーダー受付やタクシーの呼び出し機能など逐次、機能の拡充を進めていることもあって、ホテルや旅館での導入も広がり始めている。2018年6月期末の導入室数は前期末比75%増の5,000室を目指している。全国のホテルの客室数は約84万室で、旅館も含めると150万室を超える。今後、増加が見込まれる外国人向けの民泊施設なども含めれば潜在需要は依然大きく、導入室数は今後も右肩上がりに拡大していくことが予想される。現在の売上規模はまだ小さいものの、ストックビジネスとなるため損益分岐点を超えれば安定した収益源として同社の業績に貢献するものと期待され、2万室の達成を早期に実現したい考えだ。

また、IoTの新たなソリューションとしてNTTドコモと共同開発した遠隔診療サービス「MediTel」も注目される。「MediTel」は、導入する医療施設の患者がスマートフォンアプリでオンライン診察予約や医師とのテレビ電話による診察、クレジットカードによる決済、自己管理用の日々の健康データの蓄積などが可能となるサービス。2018年4月の診療報酬改定で「オンライン診療料」※が新設されたことで、遠隔診療サービスの市場拡大が見込まれることから、同市場の開拓を進めていく。遠隔診療では主に生活習慣病などの受診が中心になると予想されるため、地域の診療所やクリニックなどが顧客ターゲットとなる。同社では、NTTドコモと連携しながら2018年4月以降に営業活動を本格的に開始する予定だ。

※同じ医師が6ヶ月以上診療した患者に対し、テレビ電話やタブレット端末の画面を通じて診察・指導した場合に、1ヶ月当たり700円の診療報酬が得られることとなった。


一方、カジノ関連事業では米国市場の動きが鈍いため、国内での展開を徐々に進めている。現在は、世界のカジノ市場の動向や規制情報等についての調査レポートをカジノ誘致に関心のある自治体や企業等に販売しており、今後、市場が立ち上がる際には米国で導入を目指している電子決済ソリューションの受注を目指していく考えだ。

(2) 自動車アフターマーケット事業
自動車アフターマーケット事業の売上高は前期比11%増の1,500百万円を見込む。第2四半期までの進捗率は46%とやや低いが、第4四半期に整備工場向けを中心に新商品の車検工程管理システムの売上増が見込まれており、通期計画は達成できる見通しだ。

下期の取り組み方針としては、車検工程管理システムの販売増だけでなく、整備システムへの連携で顧客の囲い込みを進めること、また、ガラス卸商・部品卸商向け新商品の販売を拡大していくことをテーマとして掲げている。また、商品の競争力を高めるため、引き続き同社の技術部門と開発体制を一体化するようにし、開発効率の向上を図っていく。

ガラス卸商・部品卸商向けについて同社は後発となるが、データマッチング精度が高い製品を低価格料金で提供することで、顧客開拓は可能と見ている。市場規模は整備事業者数が6~7万社あるのに対して、ガラス卸商は500社、部品卸商は1,500社程度と数は少ないが、1社当たりの売上高は大きいため10社開拓できれば売上高は数億円規模となる。また、開発コストはさほど変わらないため、利益率の上昇にも寄与することになる。これら製品は6年間のライセンス販売のため、ライセンス切れのタイミングを見計らってリプレース需要を取り込むほか、業務支援システムをまだ導入していない企業にも売り込みも進めながら3年程度で一定のシェアを獲得していくことを目指している。また、ビジネスモデルとして、現在のパッケージ売り切り型から、今後は課金・手数料ビジネスとなるサブスクリプション型への移行なども検討している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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