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フジコー Research Memo(7):「森林発電事業」の通年稼働により過去最高の売上高を更新


■決算動向

2. 2017年6月期決算の概要
フジコー<2405>の2017年6月期の業績は、売上高が前期比18.4%増の3,363百万円、営業利益が同17.3%減の228百万円、経常利益が同25.4%減の180百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同38.1%減の83百万円と大幅な増収(8期連続の増収及び過去最高の売上高を更新)を実現したものの、利益面では減益決算となった。また、期初会社予想に対しても事業停止処分※の影響により、売上高、利益ともに大きく下回る着地となっている。

※同社は、千葉県より「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第14条の3第1号の規定に基づき、2017年2月8日から2017年4月8日まで(60日間)の事業停止処分を受けた。1)許可を受けたとみなされる破砕機を無許可で入れ替え、産業廃棄物の処理を行ったこと、2)焼却施設において、恒常的に許可処理能力を超過し産業廃棄物の処理を行ったことが処分の原因となっている。


売上高は、2016年6月より営業運転を開始した「森林発電事業」の通年稼働が増収に大きく寄与した(約12億円の上乗せ要因)。ただ、主力の「建設系リサイクル事業」及び「食品系リサイクル事業」が、前述した事業停止処分の影響により大きく落ち込んだことで期初予想に対しては未達となった。一方、「白蟻解体工事」については好調に推移した。

利益面では、原価率の大幅な上昇により減益となり、営業利益率も6.8%(前期は9.7%)に大きく低下した。「森林発電事業」の通年稼働による木材仕入費や減価償却費などの費用増は想定内(むしろ想定よりも良化)であったものの、「建設系リサイクル事業」の落ち込みが利益を圧迫した。特に、同社の場合、固定費負担の大きい収益構造であることから、売上高の増減に伴う利益のぶれ(レバレッジ)が大きいところに特徴があり、今回については、売上高の下振れが利益水準を大きく押し下げる結果を招いた。

財政状態については、総資産が前期末比2.1%減の6,405百万円とわずかに減少した一方、自己資本は公募増資(約260百万円)や内部留保の積み増しにより同14.7%増の2,141百万円に大きく拡大したことから、自己資本比率は33.4%(前期末は28.6%)に改善した。また、「森林発電事業」への先行投資に伴い2016年6月期に大きく拡大した有利子負債(リース債務を除く)も、約定返済等により長短合わせて3,325百万円(前期末比259百万円減)に縮小している。

キャッシュ・フローの状況も、営業キャッシュ・フローが減価償却費の増加等により大きくプラスとなったことに加え、投資キャッシュ・フローも「森林発電事業」への投資が一巡したことにより改善(マイナス幅の縮小)した結果、長期借入金の返済(約7億円)を賄いながらも、現金及び現金同等物の大幅な増加(前期末比411百万円増)につながった。既存事業に加えて、新たな安定収益源(森林発電事業)が立ち上がったことから、潤沢なキャッシュ・フローの有効活用は今後の課題と言えるだろう。

事業別の業績は以下のとおりである。

(1) 建設系リサイクル事業
売上高が前期比31.5%減の1,456百万円、売上総利益が同70.4%減の160百万円と計画を大きく下回る減収減益となった。事業停止の影響により受入数量が大きく縮小(焼却施設が前期比27.1%減、発電施設が同28.5%減等)し、同社業績全体の足を引っ張った。また、それに伴って、当事業に含まれる「バイオマス発電」の売上高も前期比25.7%減の306百万円に縮小している。なお、業績の落ち込みは、事業停止期間(60日間)における売上逸失に加えて、営業再開後も完全には元の水準に戻っていないことが理由である。その背景には、事業停止期間中にやむなく他社へ流れた顧客の一部においては取引復活までに時間を要することや、許可品目(従来は13品目)のうち2品目を自主返上(新規許可取得に向けて準備中)したことによる影響※が尾を引いているものとみられる。また、利益面での落ち込みが大きかったのは、前述したとおり、固定費負担の大きい収益構造であることが要因である。

※自主返上した2品目分の取扱減に加えて、2品目の取扱いができなくなったことに伴う利便性の低下が取引全体に影響を及ぼしたことによる。


(2) 食品系リサイクル事業
売上高が前期比15.3%減の217百万円、売上総利益が同40.0%増の26百万円と減収増益となった。堆肥化事業が事業停止の対象外であったことから比較的影響が少なかった(受入数量は微増を確保した)が、注力する液状飼料の販売数量が、販売先の肥育頭数の減少(養豚事業者の撤退による影響を含む)や事業停止期間中の受入制限等により前期比で20.9%減少したことが響いた。また、鉾田ファーム(自社保有の養豚施設)についても、当初の目標(液状飼料の販売拡大)がおおむね達成できたことから事業譲渡に踏み切った(約30百万円の減収要因)。ただ、利益面で増益を確保できたのは、運搬費の減少や鉾田ファームの譲渡等により原価率が改善したことが理由である。

(3) 白蟻解体工事
売上高が前期比5.1%増の187百万円、売上総利益が同32.6%増の7百万円と計画を上回るペースで好調に推移した。解体工事については事業停止の影響を受けたが、施工体制の拡充によりおおむね前期並みの工事件数を確保した。また、白蟻工事についても各種キャンペーン等により既存工事件数が増加した。

(4) 森林発電事業
売上高が1,501百万円(前期は278百万円)、売上総利益が262百万円(前期は22百万円)と大きく伸びた。2016年6月より営業運転を開始したバイオマス発電事業の通年稼働が業績の伸びに大きく寄与した。また、2015年12月より販売を開始している電力小売事業(大志田ダム発電所からの電力購入によるもの)についても約250百万円(前期は約170百万円)の売上貢献となったようだ。一方、利益面でも計画を大きく上回る増益を実現できたのは、木材の水分含有量などの関係により発電効率が想定よりも高かったことが理由とみられる。

以上から2017年6月期業績を総括すると、既存事業における事業停止処分が計画に対してやや残念な結果を招いたことは否めないが、その影響を除けば、新たな安定収益源として期待される「森林発電事業」が順調に立ち上がったことにより8期連続の増収を確保(過去最高の売上高を更新)したところは高く評価しても良いだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)


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