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ジェネパ Research Memo(6):越境EC市場は年々拡大


■中国越境EC事業の現状

2015年11月に上海市政府出資企業が運営する「KJT.com」に出店しスタートした中国越境EC事業だが、2016年4月8日に改正された新税制の影響で、輸出入業者を始めオペレーション上の混乱が生じている。中国政府は当面の混乱を鎮静化させるために、2017年5月まで新税制の適用を保留することとしているが、いまだ流動的な状況のようである。かかる状況の中で、ジェネレーションパス<3195>は初年度の売上目標10億円に対し、実績は約1億円であった。

中国の個人消費者向け越境ECは、1)日本国内の倉庫から中国ユーザーに個配で直送するモデル(国際郵便)と、2)保税区などを利用して貿易通関し、中国国内の倉庫から配送するモデル(一般商業貨物)の2つに大別される。

1)国際郵便の場合は、税関の判断で税額が確定する賦課課税方式のため、税金がかかりにくく日本国内売価に近い価格で販売ができる。比較的小規模取引の場合で一般的なECと言える。この場合、「行郵税」(個人携帯輸入物品や個人輸入郵送品に対して課税される税金)の税率変更はあったが、それ以外は変わらず、課税額50元以下は免税適用となる。

2)一般商業貨物の場合は、比較的大規模の取引であるが、保税区を使った個人向け越境ECであり、上記の「行郵税」が廃止され、新税率が適用される。したがって、保税区の運用ルールが変わること、商品によっては取扱いできないもの・逆に実質税率が上昇するものなどがある、などで物流機能が混乱しているようである。

同社が出店した上海の「KJT.com」は2)の一般商業貨物のモデルであるが、1)の直貿型モデルとして2016年8月に「洋桃派」でサービス開始、同9月には中国最大のECモールTaobaoに出店するなど、マルチチャネル化によってリスク分散を図っている。保税区モデルは中国国内に在庫を保有するので、注文後短納期でユーザーに配送できるが、在庫リスクが日本側にあるので売れ筋商品に限定される。一方、直貿型モデルは日本側からの配送のためデリバリーに時間を要するが、在庫リスクはなく、日本で流通するほぼすべての商材が対象にできる。中国での売れ筋商品としては、おむつ、台所用品、その他日用品などが多いそうだが、野菜を洗う洗剤など中国独自の慣習によるものもあるとのことである。

いずれにしても、中国の中間所得層の旺盛な購買意欲は今後も衰えることはないものと考えられ、一時的な運用の混乱は生じても、越境EC事業としては今後とも大きく拡大していくことが期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田 秀樹)



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