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9月のくりっく365、ドル・円および豪ドル・円は堅調か


東京金融取引所(TFX)が手掛ける取引所為替証拠金取引「くりっく365」は、8月の取引数量が前月比11.2%減の176万5929枚、1日の平均取引数量は8万0269枚と前月比で減少した。月末時点の証拠金預託額は3884.15億円と前月比で77.27億円減少した。取引通貨量では、米ドル、トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソ、豪ドルの順となっている。一方、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」は、8月の取引数量が前月比6.4%減の335万7889枚、1日の平均取引数量は15万2653枚と前月比で減少した。月末時点の証拠金預託額は555.39億円となり、前月比で約11.09億円の増加となった。

取引数量トップは米ドル・円の35万8616枚(前月比16.7%減)であった。8月のドル円はもみ合い展開となった。米10年国債利回りや米10年物ブレークイーブンインフレ率(期待インフレ率の指標)の方向感に欠ける動きが続くなか、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利にも日米間で差が生じづらく、7月にみられたような実質金利差に着目したドル買いは一服。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和縮小(テーパリング)への思惑から米金利の先高観も強く、ドル売りも限定的だった。

南アフリカランドは24万1289枚(前月比7.4%増)だった。月後半まで下落基調が続いた。同国では7月に民主化後最大規模と言われるほどの暴動が起き、政情不安がすぐに収まらなかったことが、月前半のランドの下落圧力となった。また、中央銀行による利上げ観測の後退や財務相交代に伴う政策不透明感、投機資金流出による商品市況の軟化などが重しに。さらに、米FRBの量的緩和縮小後の利上げも意識されはじめるなか、新興国からの資金流出懸念が高まったことも下落に拍車をかけた。

9月のドル・円は堅調か。9月3日に発表された8月米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが前月比23.5万人増と市場予想の72.5万人を大幅に下回った。新型コロナウイルス変異株(デルタ株)の拡大による労働市場の回復ペースが懸念される形となった。これを受け、9月下旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのテーパリング開始決定の可能性は一段と後退。一方、週次の新規失業保険申請件数や継続給付受給者数は減少傾向が続いており、また、失業保険の給付上乗せ措置が9月6日に完全に終了したことで、今後の雇用者数の伸びも期待される。そのため、年内のテーパリング開始自体は依然として濃厚シナリオ。9月のFOMCでは政策金利見通し(ドットチャート)の中央値が引き上げられることも想定され、ドルの先高観は根強い。一方、こうした要素はこれまでのFRB高官による発言やFOMC議事要旨である程度は織り込み済みのため、大幅なドル高までは期待しにくい。ドル円は底堅く、じりじりと上を試す展開となりそうだ。

9月の豪ドルは堅調か。9月7日、中央銀行は量的緩和の縮小を予定通り決定。資産購入額を週50億豪ドルから40億ドルへと減らす。新型コロナデルタ変異株の拡大を受け、緩和縮小が先送りされるとの予想もあったが、中央銀行総裁は「デルタ株の流行は景気回復を遅らせることはあっても、脱線させることはない」とし、テーパリング路線を維持した。投機資金の流出などを背景に商品市況が軟化していたこともあり、豪ドルは5月上旬頃から軟調推移が続いていたが、調整一巡感が台頭する頃合いでもある。緩和縮小や中長期的な利上げも視野に、ここからは戻りを試す局面とみる。

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