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習近平当局、19大後金融リスクなど経済問題に注力=英EIU


 英政治経済紙・エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)がこのほど、10月18日開催予定の中国共産党第19回全国代表大会(19大)後、習近平国家主席は金融リスク問題の解決に注力し、経済改革を重点に取り込むとの見通しを示した。 

 EIUが発表した最新研究報告では、18年の中国国内総生産(GDP)成長率は現在の6%台を割り、5.8%まで低下すると示された。

 EIUは、国家主席1期目で、党内および軍内で最高指導者としての地位を固めることに集中してきた習氏は、2期目に国内の経済問題に着手するだろうとの見方を示した。19大の人事刷新は今後中国経済政策に大きな影響を与える。

 19大後の経済政策を決定する中心人物に関して、EIUは習近平国家主席のほかに、李克強首相、習氏の経済プレーンである党中央財経指導小組弁公室主任劉鶴氏、現湖北省党委員会書記の蒋超良氏(人民銀行の次期総裁候補)、国家発展改革委員会の何立峰主任および銀行業監督管理委員会の郭樹清主席と挙げた。

 同報告は、中国経済の主要問題は過剰債務だとしたうえ、当局は長い間、この問題がもたらし金融リスクへの対処を怠ったと指摘した。

 近年、国際通貨基金(IMF)、国際決済銀行(BIS)などの世界的権威機関が、急増する中国の債務規模がすでに危険水準に達し、新たな世界金融危機を招いていると警告してきた。

 中国当局もそれを認識しているようだ。昨年5月、党機関紙・人民日報が「権威人士」へのインタビュー記事を掲載した。同「権威人士」は「高いレバレッジはコントロールできなければ金融危機を起こし、マイナス成長になる」などと中国経済に関する問題点を指摘した。国内外多くの専門家は、「権威人士」は中国最高層指導部のメンバーだと捉えている。

 またEIUは中国当局が今後、リスク解消で行うデレバレッジ(債務削減)に関して以下3つの経済・金融政策を調整すると推測した。

 金融政策

 中国人民銀行(中央銀行)は2018年に、インフレ圧力と関係なく、政策金利である「基準金利」を引き上げる可能性が高い。主な目的は、国内金融市場や企業に対して信用収縮(金融機関の融資枠縮小、貸出制限)の姿勢を示すためだ。当局が今年に行ってきた金融セクターへの取り締まり強化で、銀行間取引金利などを引き上げた。

 財政政策

 EIUは、中国当局が2018年に、金融機関の貸出制限の代わりに、積極的な財政政策(当局の支出を増やすこと)を強化すると予測した。2017年にGDPの3.9%を占めた当局の財政赤字規模は、18年になるとGDPの4.4%に上昇するとの見込みだ。

 理財商品と影の銀行への取り締まり強化

 中国当局は今後、金融リスクの増大に対応して、利回りの高い資産運営商品である理財商品と影の銀行にも取り締まりを強化していくとみられる。EIUによると、昨年市中銀行が販売する理財商品の規模は29兆元(約487兆円)を上回った。

 EIUは、当局が金融セクターへの厳しい引き締めで、国民の投資意欲が弱まり、18年の投資増長率は、17年に予測した5.8%から3.6%に落ち込むとの見解を示した。投資増長率低下の影響で、GDP成長率も下落するという。

 中国過剰債務が世界経済に打撃



 世界各国の経済活動には、現在中国との貿易が欠かせないだけではなく、中国企業からの大規模な投資もよくみられるようになった。EIUは、中国経済成長の失速は世界経済に大きな影響を与えると指摘した。

 中国経済成長の約半分は投資によるものだが、近年の投資規制で経済成長失速を招いた。不景気で中国の内需が低迷しているため、オーストラリアやブラジル、インドネシアなどの経済に打撃を与えた。これまで中国の鉄鉱石、石油など資源に対する旺盛な需要が、これらの国の経済成長を貢献したからだ。

 EIUは、18年のオーストラリアとインドネシアのGDP成長率はそれぞれ2.4%と4.7%に低下し、ブラジルは2.3%を下回ると推測する。

 中国向けに生活用品などの消費財を輸出する日本、韓国、台湾とアメリカの経済については、中国の家計支出が大幅に減少することがないため、中国経済鈍化による影響が少ないとEIUはした。

 中国企業の海外投資は当局の一段と厳しい金融監督管理で、今後引き続き減少する見込みだという。

 EIUの調査報告では、金融リスク縮小を模索する習近平当局は、景気のテコ入れを目的に膨大な借金を積み上げた地方政府や国有企業から強い反発を受けるだろうとの見方を示した。

(翻訳編集・張哲)

【ニュース提供・大紀元】




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