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戻り高値更新は買い戻し主導だったが…


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;23613.20;-33.87TOPIX;1647.94;-7.53

[後場の投資戦略]

 日経平均は前日にコロナショック後の戻り高値を更新した。ただ、この日の先物手口を見ると、先週の株安局面で売り持ち高を増やしていた海外勢の買い戻しが中心だったとみられる。現物株、先物とも売買はさほど膨らまず、薄商いのなかで短期的な買い戻しの動きが相場を押し上げたようだ。個人投資家はというと、やはり一部が日経ダブルイン<1357>の買い持ち解消に動く一方、日経レバETF<1570>には利益確定の売りが出たもよう。総じて「腰の入った買い」という印象は乏しく、追随買いも少ないようで、買い戻し一巡後に上値が重くなるのはやむを得ないだろう。後場は前日の日経レバETFの売りに絡んだ先物売りが出て、相場を押し下げる可能性もある。

 また、前日の米市場は追加経済対策を巡る協議の動向に一喜一憂する一方、米大統領選・議会選での民主党の完全勝利、いわゆる「トリプルブルー」で大規模な財政出動が行われることに期待した買いが根強く入ったようだ。前日の当欄でバイデン前副大統領の勝利を見越した「いいとこ取り」と指摘した相場が続いているが、本日の東京市場では海運株の上昇が続く一方、半導体関連株は利益確定売りに押され反落している。例えば郵船<9101>は年初来高値を付けるまで上昇してきたにもかかわらず、信用需給はいまだ売り長。また、化学などの景気敏感株の一角では既に株価純資産倍率
(PBR)が1倍近くとなっているものの、郵船や商船三井<9104>は0.5~0.7倍程度だ。
買い戻し余地、戻り余地で銘柄やセクターが選別されているものと考えられる。

 なお、株式市場全体としても信用買い残が1年8カ月ぶりの高水準となる一方、信用売り残は5カ月ぶりの低水準となっている(東京証券取引所が6日発表した2日申し込み時点の信用取引残高)。全般に売り持ちの多かった銘柄で買い戻しが進むなか、決算発表シーズンを迎える点には注意したい。

 とはいえ、足元発表されている小売り大手の決算は期待したとおり「思ったほど悪くない」ものとなっている。これも以前指摘したとおり、小売り等の内需系銘柄は値がさで日経平均への寄与が大きいものも少なくなく、予想1株利益(EPS)が改善傾向となれば日経平均の一段の上昇を後押しする要因となる。実際、日経平均のEPSは1000円近辺で減額に歯止めがかかり、足元持ち直しの兆しも見られる。

 まだまだ米政治情勢などを巡り様子見ムードが続くとみられるが、企業の業績の回復や事業再編の動き、菅政権による改革推進など、将来的な日本株再評価の芽がちらほら出てきている点にも注目しておきたい。
(小林大純)


<AK>

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