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日経平均は小幅反落、戻り高値更新は買い戻し主導だったが…


 日経平均は小幅反落。33.87円安の23613.20円(出来高概算5億4000万株)で前場の取引を終えている。

 8日の米株式市場でNYダウは続伸し、122ドル高となった。新規失業保険申請件数が前回から減少し、経済封鎖前の3月中旬以来の低水準となったほか、部分的な追加経済対策への期待から買いが先行。民主党のペロシ下院議長が航空会社など個別の支援を支持する意向はないとし、下落に転じる局面もあったが、ムニューシン財務長官が包括案の協議再開をペロシ氏に打診したと伝わると再び上昇した。本日の日経平均も米株高を好感して66円高からスタート。ただ、今週に入ってからの4日間で600円あまり上昇し、前日にはコロナショック後の戻り高値を更新したことから、上値では利益確定の売りも出て伸び悩んだ。前場中ごろを過ぎると小安い水準でもみ合う場面が続いた。

 個別では、ソフトバンクG<9984>、東エレク<8035>、レーザーテック<6920>、任天堂<7974>などがさえない。第一三共<4568>は3%超の下落と軟調ぶりが目立つ。業績下方修正の日触媒<4114>などは急落し、ダントーHD<5337>は大幅続落で東証1部下落率トップとなった。一方、小売り大手の決算では業績の回復基調がポジティブ視され、7&iHD<3382>が5%超、良品計画<7453>が12%超の上昇となった。その他売買代金上位では、ファーストリテ<9983>が3%近く上昇して日経平均の下支え役となり、エムスリー<2413>やソニー<6758>も堅調。中小型株ではブイキューブ<3681>が一部報道を手掛かりに賑わい、決算が好感されたSHIFT<3697>は東証1部上昇率上位に顔を出している。

 セクターでは、不動産業、証券、建設業などが下落率上位で、その他も全般軟調。
反面、海運業、小売業、石油・石炭製品の3業種が上昇した。東証1部の値下がり銘柄は全体の71%、対して値上がり銘柄は25%となっている。

 日経平均は前日にコロナショック後の戻り高値を更新した。ただ、この日の先物手口を見ると、先週の株安局面で売り持ち高を増やしていた海外勢の買い戻しが中心だったとみられる。現物株、先物とも売買はさほど膨らまず、薄商いのなかで短期的な買い戻しの動きが相場を押し上げたようだ。個人投資家はというと、やはり一部が日経ダブルイン<1357>の買い持ち解消に動く一方、日経レバETF<1570>には利益確定の売りが出たもよう。総じて「腰の入った買い」という印象は乏しく、追随買いも少ないようで、買い戻し一巡後に上値が重くなるのはやむを得ないだろう。後場は前日の日経レバETFの売りに絡んだ先物売りが出て、相場を押し下げる可能性もある。

 また、前日の米市場は追加経済対策を巡る協議の動向に一喜一憂する一方、米大統領選・議会選での民主党の完全勝利、いわゆる「トリプルブルー」で大規模な財政出動が行われることに期待した買いが根強く入ったようだ。前日の当欄でバイデン前副大統領の勝利を見越した「いいとこ取り」と指摘した相場が続いているが、本日の東京市場では海運株の上昇が続く一方、半導体関連株は利益確定売りに押され反落している。例えば郵船<9101>は年初来高値を付けるまで上昇してきたにもかかわらず、信用需給はいまだ売り長。また、化学などの景気敏感株の一角では既に株価純資産倍率
(PBR)が1倍近くとなっているものの、郵船や商船三井<9104>は0.5~0.7倍程度だ。
買い戻し余地、戻り余地で銘柄やセクターが選別されているものと考えられる。

 なお、株式市場全体としても信用買い残が1年8カ月ぶりの高水準となる一方、信用売り残は5カ月ぶりの低水準となっている(東京証券取引所が6日発表した2日申し込み時点の信用取引残高)。全般に売り持ちの多かった銘柄で買い戻しが進むなか、決算発表シーズンを迎える点には注意したい。

 とはいえ、足元発表されている小売り大手の決算は期待したとおり「思ったほど悪くない」ものとなっている。これも以前指摘したとおり、小売り等の内需系銘柄は値がさで日経平均への寄与が大きいものも少なくなく、予想1株利益(EPS)が改善傾向となれば日経平均の一段の上昇を後押しする要因となる。実際、日経平均のEPSは1000円近辺で減額に歯止めがかかり、足元持ち直しの兆しも見られる。

 まだまだ米政治情勢などを巡り様子見ムードが続くとみられるが、企業の業績の回復や事業再編の動き、菅政権による改革推進など、将来的な日本株再評価の芽がちらほら出てきている点にも注目しておきたい。
(小林大純)


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