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【矢野経済研究所プレスリリース】バイオマスフィラー市場に関する調査を実施(2025年)2030年バイオマスフィラー国内市場規模はフィラーベースで1,605t/年、複合樹脂ベースで3,680t/年を予測


株式会社矢野経済研究所は、木粉や卵殻などのバイオマスフィラーを利用した複合樹脂の国内市場を調査しました。現在、バイオマスフィラーは廃材や残渣を主に利用し、従来の用途では需要が限られていますが、環境意識の高まりにより、プラスチックの代替材として日用品や玩具などでの使用が拡大しています。市場規模は2024年に368t、2030年に3,680tと予測され、アップサイクルによる価値の向上が鍵です。今後は、既存のプラスチックに代わるものではなく、バイオマスフィラー自体の特徴を生かした用途開発や産業界へのアプローチが求められます。

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、バイオマスフィラー及びその複合樹脂の国内市場を調査し、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

現在、日本国内で活用されている代表的なバイオマスフィラーは木粉、デンプン、セルロース繊維、貝殻、卵殻など、バイオマス由来の原料をさし、それらの原料は、セルロース繊維やデンプンのように工業材料として生産されるものもあるが、多くは建築現場などから排出される廃材や製材端材、間伐材、ホタテや牡蠣をむき身などに加工する際に排出される殻、食品加工工場、割卵業者などから排出される殻など、端材・廃材や残渣が中心である。
これらは従来、肥料・飼料・土壌改良剤などの農業分野に加え、貝殻・卵殻については学校校庭などのラインなどとして活用されてきたが、需要量が限られており発生量の多くをカバーするまでには至っていない。また、いずれの用途も廃物利用の領域を出ておらず、安値で取引されるダウンサイクル(元のものよりも付加価値が低いものとしての活用)がほとんどという状況であった。
しかし近年、気候変動や海洋汚染などの環境問題に対する関心が高まり、化石資源由来プラスチックの使用量を削減しCO2の排出を抑制するカーボンニュートラル(CN)や、石油や鉱物などの有限資源から再生可能資源への転換が強く求められるようになっている。これにより日用品や玩具、雑貨類などを中心に、従来使用していたプラスチックに木粉、卵殻、貝殻といったバイオマス由来のフィラー(充填材・添加材)を高配合し、化石資源由来プラスチックの使用量を削減するという取り組みが進展している。廃物利用のダウンサイクルが中心であったバイオマスフィラーの用途が、樹脂に充填され様々な製品へと展開されるアップサイクル(元のものよりも付加価値の高いものとしての活用)へと広がりつつある。

本調査では、バイオマスフィラーのアップサイクルでの動向を対象とした。アップサイクルされるバイオマスフィラーの国内市場規模は、2024年は複合樹脂ベースで368t、フィラーベースで189t、2025年見込みは複合樹脂ベースで490t(前年比133.2%)、フィラーベースで254t(同134.4%)と推計され、2030年には複合樹脂ベースで3,680t、フィラーベースで1,605tになると予測する。(いずれも建材向け木粉を除く)

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000318860&id=bodyimage1

【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000318860&id=bodyimage2

2.注目トピック~バイオマスフィラーのもう一段の拡大には「プラ代替」の枠にとらわれない提案と用途開発が必要

最近では様々な分野でバイオマスフィラーを複合化してプラスチック使用量削減につなげる動きが進んでいる。加えて、製品に占めるフィラー(充填材・添加材)の重量比が51%を超えた(プラスチックの重量が半分以下になった)場合、分類上はプラスチックではなくなり、使用後にプラスチックごみではなく可燃物として処理できるということから、使用済製品の回収からリサイクルまでの仕組み・スキームが確立していない日用品や雑貨を中心にバイオマスフィラーの使用量は今後も順調に増えていくものと見られる。

ただ、こうした使い方は上述のダウンサイクルよりは付加価値が大きく向上しているものの、フィラーの使い方としてはさほどの付加価値を生み出しているとは言えない。
既存の材料からの代替である限り、元の材料と価格や物性で比べられ、大きな採用メリットが無いと採用が進まないということになりがちである。もともとあった何かを代替するのではなく、バイオマスフィラーならではのメリットを訴求し、採用につなげていく取り組みが必要と考える。

3.将来展望

バイオマスフィラーは特に新しい材料ではなく、木質プラスチック建材や、プラスチックへの充填材として使用することで充填しないものよりもプラスチックの使用量を削減する減プラを狙った複合樹脂といった用途で以前から使用されてきた。しかし、ファッション、テーブルウェアなどプラスチックの枠を超えた用途での採用が始まってからはようやく数年が経過したところであり、材料としては“スタートアップ”の段階にある。

新しいプロダクトを新しいマーケットで幅広く展開していくためには、自社のこれまでの実績や既存の枠組みのみにとらわれることなく、ターゲットとする用途や販売先を設定し、材料を供給するユーザー企業の製品コンセプトやブランド力と自社のバイオマスフィラーがどのようにつながり、双方が組み合わさることでさらなる価値向上に結びつけることができるか、ユーザー企業の製品やブランドに込めた思いや理想を把握し、自社のバイオマスフィラーで何ができるのか、説得力のある提案を進めていけるかが問われる。

そのためにも、自社のプロダクトの訴求点がどこにあるのか、バイオマスということ自体が価値になるのか、従来のプラスチックにはない風合いやデザインが評価されるのかを把握するとともに、ファッション、テーブルウェア、家具、自動車など、これまで馴染みのなかった産業界も含めてトレンドを把握し、CO2削減や減プラだけではない視点、切り口での製品開発や提案を新たな領域での採用に結びつけていくことが求められている。

※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3797

調査要綱
1.調査期間: 2025年1月~3月
2.調査対象: セルロース、木粉、卵殻、カカオハスクなどをフィラー化したバイオマスフィラーとその複合樹脂製造企業、関連企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンラインを含む)、ならびに文献調査を併用
4.発刊日:2025年3月27日

お問い合わせ
⇒プレスリリースの内容や引用についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。
株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press

株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/



配信元企業:株式会社矢野経済研究所
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