【矢野経済研究所プレスリリース】業務・産業向けプリンタ世界市場に関する調査を実施(2023年)~2022年度の世界出荷台数は前年度比99.6%の128万台、出荷金額は同116.1%の8,877億円~
- 2023年10月02日 11:30:00
- マネー
- Dream News
1.市場概況
本調査では、荷物の送り状・伝票・複写用紙・契約書などの特殊用紙の印刷に特化したシリアル・インパクト・ドット・マトリクス(SIDM)プリンタやライン・インパクト・ドットプリンタ、ラベル印刷やデジタル印刷、オンデマンド(POD)印刷等が可能なプロダクションプリンタ、A2判以上の大きさの印刷が出来るLFP(大判プリンタ、インクジェット方式)の業務・産業向けプリンタ4カテゴリを対象とした。2022年度の業務・産業向けプリンタ世界出荷台数は前年度比99.6%の128万3,079台、出荷金額は同116.1%の8,877億2,100万円(いずれもメーカー出荷ベース)となった。
業務・産業向けプリンタは、新型コロナウイルスの影響による経済活動の停滞により、各カテゴリで出荷が一時的に落ち込んだ。コロナ禍の行動制限緩和とともに、企業の設備投資なども回復に転じたことで、出荷金額は回復基調となった。
各カテゴリ別に市場を見ると、出荷台数全体の6割以上を占めているSIDM市場とライン・インパクト・ドット市場は、用途が限られ、需要も減退していることから、出荷台数ベースでは前年度比で減少という結果となった。
一方、1台あたりの単価が高額で、出荷金額全体に占める割合が大きいプロダクションプリンタやLFP(インクジェット方式)は、デジタル印刷やオンデマント印刷、大判印刷等の需要が拡大しており、出荷金額ベースでは前年度比で大きく伸びている。
成長トレンドのプロダクションプリンタ市場とLFP(インクジェット方式)市場は回復、減少トレンドのSIDM市場とライン・インパクト・ドット市場は弱含みで、業務・産業向けプリンタ世界市場は製品カテゴリにより、明暗がはっきり分かれる結果となった。
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000288054&id=bodyimage1】
2.注目トピック~UVプリンタ~
UVプリンタとは、紫外線で硬化する「UV硬化インク」を用いたプリンタである。UVプリンタではプリントしながら紫外線(UV光)を照射し、瞬時にインクを硬化させるため、乾燥時間を必要としないといったメリットがある。また、耐候性にも優れ、ガラスや金属などの紙以外のメディア、円筒など平面以外のものにも印刷することが出来る。
多様な用途、速乾性、幅広い製品ラインナップなどがユーザー企業に支持されており、国内の主要メーカーのいずれも、世界市場において順調に出荷台数を伸ばしている。2022年度のUVプリンタの世界出荷台数*は前年度比115.4%の1万2,359台、出荷金額*は同109.6%の990億円となった。2023年度以降はラテックスプリンタなど、低VOCで環境に配慮した他製品の伸長もあり、市場の伸び幅は小さくなると考えるが、今後も成長は続いていくと予測する。
*業務・産業向けプリンタの出荷台数、出荷金額の内数。
【画像 https://www.dreamnews.jp/?action_Image=1&p=0000288054&id=bodyimage2】
3.将来展望
2023年度の業務・産業向けプリンタ世界出荷台数は、前年度比97.2%の124万6,662台、出荷金額は同107.8%の9,567億8,300万円になると予測する。
2022年度と同様に、減少トレンドにあるSIDM市場の影響で出荷台数は減少する見込みである。一方、プロダクションプリンタ市場とLFP(インクジェット方式)市場では、下位モデルの需要増による裾野拡大や印刷用途が広がっており、出荷金額は増加する見通しである。その他、半導体不足を背景とした製品の供給不足やサプライチェーンの混乱などは徐々に緩和されているものの、市場はウクライナ問題による経済活動の停滞や、円安による輸出拡大・増収などの影響を引き続き大きく受ける見込みである。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3348
調査要綱
1.調査期間: 2023年4月~9月
2.調査対象: プリンタメーカ・販売店/パートナー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話やeメールによる取材併用
4.発刊日: 2023年09月08日
お問い合わせ
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