主要7政党のマニフェストは課題解決のプランとしては不合格 ~2017年衆議院選挙 マニフェスト評価結果公表~
- 2017年10月20日 17:30:00
- マネー
- Dream News
非営利シンクタンク言論NPO(東京都中央区、代表:工藤泰志)は、衆議院選挙の2日前の10月20日、主要7政党の公約が、日本が直面する課題の解決策として妥当なものかを採点した「マニフェスト評価」の結果を、言論NPOホームページ(http://www.genron-npo.net/)にて発表しました。
こうした各党のマニフェスト評価は、言論NPOが2004年より一貫して、選挙の際に独立・中立の立場で実施し、有権者に判断材料を提供するために公表しているもので、今回で11回目となります。
報道関係者の皆様には、こうした取り組みをぜひご取材・ご報道いただきたく、お願い申し上げます。なお、分野別の評価結果・アンケート結果の詳細については、言論NPOホームページをご参照ください。また、代表・工藤への個別取材も随時お受けしております。
【8政党のマニフェスト評価総合点】(全5分野の平均)
多くの公約が願望や自らの党の主張を述べるだけの抽象的な公約に戻ってしまった
今回評価したのは、経済、財政、社会保障、外交・安保、エネルギー・環境の5つの政策分野で、主要7政党のマニフェスト(公約)を対象としました。その結果、各党のマニフェストの評価は前回までの選挙同様、低い評価となり、最も高い評価となった自民党でも100点満点で32点、その他は10点台が5党という結果となり、マニフェストとしては不合格と言えます。
評価がここまで低くなったのは、急な解散だったこと、新政党の立ち上げなどで十分な準備ができなかったという事情を反映しています。しかし、そういった事情は理解できても、政党側にマニフェストが課題解決のプランであり、国民との約束であるという意識や意欲が弱く、多くの公約が願望や自らの党の主張を述べるだけの抽象的な公約に戻ってしまっています。
自民党・公明党ですら100点満点で32点、23点にとどまった今回のマニフェスト
今回の公約は、政権与党である自民党・公明党ですら、100点満点でそれぞれ32点、23点となり、公約としては不合格と言わざるをえません。しかし、相対的に見ると、自民党、公明党、共産党の既成政党のマニフェストは課題別に整理され、完璧とは言えないが政策目的やその財源などもある程度示しています。これに対して、新しい政党は、形式そのものが整っていない。そのため、公約が約束として判断可能なものになっているか、という形式基準では、既成政党は40点満点で10点台は確保しています(形式基準の点数の平均:自民党13.8点、共産党12.2点、公明党11.6点、希望の党9.8点、社民党8.4点、日本維新の会7.8点、立憲民主党5.4点)。もちろん、約束の数値目標や達成期限、財源などが記載されている公約は少なく、党の主張を述べている程度となっています。
形式用件のみならず、各政策が課題解決のための実質的な案になっておらず低評価
主要7党の5分野における評価点数は以下のとおりである。マニフェストの形式用件だけではなく、その政策が課題解決のための実質的な案としてしっかりと示されているものも少ないため、各党の実質基準の点数はさらに低いものとなっている。課題解決に向けてのプランが国民に提示されず、その課題解決で競争が行われないのに、政権選択として有権者は何を基準にして政党を選べばいいのか。今回のマニフェストから、その答えを見つけ出すことはかなり難しくなっている。
私たちは2004年から決まった評価基準に基づき、定期的にマニフェストの評価を行ってきたが、明らかにマニフェストの評価点数は後退しています。国民が自分たちの将来や課題解決を政党に期待できない、そして選挙でもしっかりとしたマニフェストが提起されない状況では、政党政治が信頼を失い、民主主義そのものの機能を大きく弱めてしまうことになりかねません。今回の選挙で出された公約に対する低評価は、そうした政党の脆弱さを示しているものです。
【7党の分野別点数一覧】 ※詳細な評価結果はホームページをご覧ください
http://www.genron-npo.net/politics/archives/6792.html
【特別企画 主要5政党の政策責任者に問う「今回の選挙で各党は日本の課題にどう向かい合っているのか」】
◆主要5党の参加者
・和田政宗氏 (自民党広報本部副本部長)
・石田祝稔氏(公明党政調会長)
・笠井亮氏(共産党政策委員長)
・細野豪志氏(希望の党)
・福山哲郎氏(立憲民主党幹事長)
⇒詳細な対談内容は言論NPOのHPで全てご覧いただけます
http://www.genron-npo.net/
■言論NPOについて
言論NPOは、「健全な社会には、当事者意識を持った議論や、未来に向かう真剣な議論の舞台が必要」との思いから、2001年に設立された、独立、中立、非営利のネットワーク型シンクタンクです。
2005年に発足した「東京-北京フォーラム」は、日中間で唯一のハイレベル民間対話のプラットフォームとして12年間継続しています。また、2012年には、米国外交問題評議会が設立した世界25カ国のシンクタンク会議に日本から選出され、グローバルイシューに対する日本の意見を発信しています。この他、国内では毎年政権の実績評価の実施や選挙時の主要政党の公約評価、日本やアジアの民主主義のあり方を考える議論や、北東アジアの平和構築に向けた民間対話などに取り組んでいます。
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