- 主要および副次評価項目において統計的に有意な改善を確認、被験者の多くがほぼ正常な覚醒度の範囲に達し、調査した広範な症状において臨床的に有意な改善を示す
- Oveporextonは一般的に安全で忍容性が高いことが判明
- Oveporextonの第3相試験結果は2025年に公表予定
日本、大阪&マサチューセッツ州ケンブリッジ--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --武田薬品工業(TSE:4502/NYSE:TAK)は、ナルコレプシー1型(NT1)患者を対象としたOveporexton(TAK-861)の第2b相試験の結果が、The New England Journal of Medicine誌に掲載されたことを発表しました。Oveporextonは、NT1の原因であるオレキシン欠乏症に対処するため、オレキシンシグナルを回復させるよう設計された経口オレキシン受容体2(OX2R)選択的作動薬です。本試験の結果、プラセボと比較し、8週間の投与で、日中の過度な眠気(EDS)の客観的および主観的指標が有意に改善し、カタプレキシー発現率が減少し、疾患の重症度と生活の質(QOL)が臨床的に意義のある改善を示しました。


NT1は、オレキシンを産生する神経細胞が著しく失われることによりオレキシンレベルが低下し、EDS、カタプレキシー(突発的な筋緊張の低下)、認知症状、夜間の睡眠障害、入眠時や起床時に起こる幻覚、睡眠麻痺などを引き起こす重篤な慢性神経疾患です。これらの衰弱症状は、個人のQOLを著しく低下させ、仕事、学業成績や人間関係に深刻な影響を及ぼします。現在の標準的な治療法では、さまざまな症状に対処するために多剤併用療法が用いられていますが、これらの薬剤のいずれも、NT1の原因である根本的なオレキシン欠乏に直接作用するものではありません。
「ナルコレプシー1型は24時間にわたって影響を及ぼす疾患であり、正常に機能し、健康的かつ生産的な生活を送ることを非常に困難にします」とフランス・モンペリエのGui de Chauliac病院神経科睡眠覚醒障害センターのディレクターであるYves Dauvilliers医師は述べています。「Oveporextonは、NT1の根本的な病態生理に対処することを目的として設計された、最も進んだ開発段階にあるオレキシン受容体2作動薬です。武田薬品の臨床第2b相試験で得られたデータは、NT1患者さんの症状全般にわたり臨床的に意義のある改善が示されました。」
当社の神経科学治療領域長でグローバル開発担当のサラ・シャイフ医師(医学博士、理学修士、医学士、外科学士、王立内科医協会会員)は、「ナルコレプシー1型の患者さんにとって、出勤や通学、運転や運動、家族や友人との交流といった日常生活の管理は、大きな困難となることがあります。今回の臨床第2b相試験の結果は、オレキシンシグナルを回復させることで、ナルコレプシー1型の患者さんの広範な領域に良好な影響を及ぼし、健常者に見られる通常に近い覚醒度を達成する可能性があることを示唆しています。私たちは、oveporextonがNT1患者さんにとって革新的なファースト・イン・クラスの治療選択肢となるよう懸命に開発に取り組んでいます」とコメントしています。
NT1でのTAK-861-2001第2b相臨床試験の結果について
TAK-861-2001第2b相臨床試験には、世界中の18〜70歳のNT1患者112名が参加しました。被験者は、4つのoveporexton投与群(1日2回投与群:0.5/0.5 mg、2/2 mg、2/5 mgまたは1日1回投与群:7 mg)のいずれか、またはプラセボに均等に割り付けられ、8週間投与されました。本試験の主要評価項目および副次評価項目は、覚醒ならびに日中の眠気に関する主観的・客観的測定、カタプレキシー発生率、プラセボと比較した安全性において、oveporextonの影響を評価しました。
第2b相臨床試験の結果は以下の通りです。
主要評価項目では、覚醒度の主要な指標である覚醒維持検査(MWT)において、平均睡眠潜時がすべての用量でプラセボと比較して改善が見られました(すべての比較において調整済みp≦0.001)。平均睡眠潜時は健常者に見られる基準値と一致しました。
主な副次評価項目は、EDSの指標であるエプワース眠気尺度(ESS)スコアの有意な減少し、1週間あたりのカタプレキシー発現率(WCR)も減少しました。これらの改善は、いずれもすべての用量でプラセボと比較して有意に確認され、その効果は8週間にわたって持続しました。
ナルコレプシー症状の重症度、頻度および影響を評価する臨床試験用ナルコレプシー重症度スケール(NSS-CT)、およびQOLを評価する36項目短縮版調査票(SF-36)が探索的評価項目として使用されました。NSS-CTドメインスコアは、多くの項目(EDS、カタプレキシー、入眠時幻覚および睡眠麻痺)で顕著な改善を示し、SF-36による評価では、すべてのOveporexton投与群でプラセボと比較してQOLに臨床的に意義のある改善が観察されました。
最も多く報告された治療に伴う有害事象(TEAEs)は、不眠症(43%)、尿意切迫感の増加(30%)、および頻尿(29%)でした。ほとんどのTEAEsの重症度は軽度から中等度であり、投与後1〜2日以内に発現し、いずれも一過性でした。肝毒性または視覚障害の症例は報告されませんでした。
本試験を完了した被験者の95%が長期継続投与試験(LTE)に移行しており、多くの患者が1年またはそれ以上投与を継続しています。
武田薬品は、複数の新薬候補からなるフランチャイズを通じて、オレキシン科学の分野をリードしています。その中核をなす開発プログラムであるOveporextonは、現在第3相試験に進んでいる初めてかつ唯一のオレキシン作動薬です。 同社は、この第3相試験のデータ読出しを2025年中に行う予定です。
睡眠覚醒障害に対する武田薬品のオレキシン作動薬について
武田薬品は、患者のニーズに合わせた治療薬の提供を目指して複数の新薬候補からなるフランチャイズを有する、オレキシン科学領域のパイオニアです。オレキシンは、睡眠・覚醒サイクル制御する重要な因子であり、呼吸や代謝などの他の重要な生体機能にも関与しています。このフランチャイズの中核的な開発品であるoveporexton(TAK-861)、米国食品医薬品局(FDA)および中国国家薬品監督管理局薬品審査センターから、NT1における日中の過度の眠気の治療に対して「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)」指定を受けています。当社はまた、オレキシン神経ペプチドのレベルが正常な患者群や、オレキシンの生物学的機能が関与している他の疾患領域においても、オレキシン作動薬の開発を進めています。これには、ナルコレプシー2型および特発性過眠症の治療薬として開発中の経口OX2R作動薬であるTAK-360が含まれ、FDAからファストトラック(優先審査)指定を受けています。
武田薬品について
武田薬品工業株式会社は、人々のより優れた健康とより明るい未来を創り出すことに注力しています。武田薬品は、核となる消化器系や炎症、希少疾患、⾎漿分画製剤、腫瘍、ニューロサイエンス(神経精神疾患)そしてワクチンなどの治療および事業分野において、革新的な医薬品を発見し、提供することを目的としています。提携企業と共に、ダイナミックかつ多様なパイプラインを通し、武田薬品は患者さんのエクスペリエンスを改善し、新たな治療選択肢を広げることを目指しています。日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーであり、患者さん、社員、地球へのコミットメントが原動力となっています。およそ80の国と地域に在籍する社員は、武田薬品の掲げる目的を行動の糧としており、2世紀以上にわたり社を定義してきた価値観を基盤としています。詳細は、 www.takeda.com.
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