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DICにおける関連当事者取引の適切性や川村氏の影響力について、オアシスの懸念は引き続き解消されず


香港の投資ファンドオアシス・マネジメント・カンパニーは、DIC株式会社に対し、関連当事者取引やコーポレートガバナンスの改善を求める声明を発表しました。川村氏の関与が指摘される埼玉土地取引や美術品の扱いに関して、オアシスは透明性の欠如を批判。特に、川村家関連の疑わしい取引について、DICが情報開示を拒否している点に懸念を示しました。オアシスはDIC株主に、会長と社長の再選に反対し、取引監督強化のための定款変更案を支持するよう求めています。

(証券コード:4631 JT)

* その適切性が疑われる川村家との関連当事者取引である埼玉土地取引や美術館の将来に関する決定に対する川村氏の影響力に関するDICの説明に対して疑義が存在

* DICの美術品の内、最も価値が高い美術品を、川村氏が約25年に亘って会員である会員制クラブである国際文化会館に移設する計画について、DICは適切な説明を提供せず

* DICによるオアシスへの批判に対してオアシスは抗議。「適切なエンゲージメントの範囲を逸脱」しているのはDICである。「適切なエンゲージメント」を求めるのであれば、裁判手続きにおいて明らかに不誠実な主張や対応を行うことを止めるようオアシスは要請

* DICの一連の行動は株主に帰属する財産を取り上げ、当該財産及び/又はその支配権を実質的に川村喜久氏、そして川村氏に近しい人々や組織の影響下に置こうとする試みであるとオアシスは評価

* オアシスはDIC株主に対し、会長の猪野氏と社長の池田氏の再選に反対すると共に、関連当事者取引の監督を強化するオアシスによる株主提案である定款変更議案に賛成するよう要請

詳細はDICcorpgov.comでご確認ください。

香港--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッド(以下「オアシス」といいます。)は、インキ及びその他の化学品の製造・販売を行うDIC株式会社(4631 JT)(以下「DIC」または「同社」といいます。)の株式を約11.5%保有するファンドの運用会社です。オアシスは「責任ある機関投資家」の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》を遵守しており、この原則に沿ってオアシスは投資先企業のモニタリングとエンゲージメントを行っております。

オアシスはDICの大株主として、川村喜久氏の長期間の取締役在任がもたらしてきたコーポレート・ガバナンスの不全と、その地位から生じる利益相反に重大な懸念を抱いてきました。DICは直近の複数の開示において、オアシスによる正当な懸念に適切に対応することはおろか、オアシスにとっていわれのない批判を展開しています。

埼玉土地取引に関する疑義の残る主張

DICの株主として、川村家が支配する法人がDICから埼玉の土地を取得し、僅か2か月以内に三菱地所の子会社に売却した埼玉土地取引の適切性にオアシスは懸念を抱いてきました。

オアシスは、かねてより埼玉土地取引やその他の関連当事者取引についてDICに対し説明を求めていましたが、DICの説明責任の放棄を受けて、オアシスは取締役会議事録や会計帳簿の閲覧謄写を求める裁判手続きを開始せざるを得ませんでした。取締役会議事録や会計帳簿の閲覧謄写は会社法上、明確に株主に認められている基本的な株主権の一つです。にもかかわらずDICはオアシスが取締役会議事録や会計帳簿を閲覧謄写する権利を認められるべきでないと裁判手続きにおいて主張しております。そのような主張を展開する一環として、DICは様々な関連当事者取引が「適切」に行われており、オアシスに対して取締役会議事録や会計帳簿を開示する必要が無いと縷々主張しております。DICがこのような主張を展開するために裁判所に提出した主張書面は(取締役会議事録と会計帳簿それぞれの閲覧謄写を求める裁判手続きにおいて、内容として重複するものや美術館に関するものも含めると)累計100ページ以上にも及びます。

2025年3月14日付けの開示において、DICは「埼玉土地の売却取引に関して、当社は、信託銀行などの複数の仲介業者に依頼して入札を行い、最も良い条件を提示した落札者に売却したに過ぎず、適正かつ妥当な売却プロセスを踏んでおります」との主張を展開しています。

しかし、上記オアシスとの間で係属している裁判手続きにおいてオアシスに株主権の行使を認めるべきでないとの主張を展開するためにDICは100ページ超の主張書面を提出するとともに、2件の裁判手続きで合わせて計8回もの裁判期日に出席し、当該主張の一環として取引の「適切性」についても主張を行っていますが、一連の主張の中でこのような信託銀行の介在した「入札」手続きの存在は一度も言及されていません。そればかりか、遅くともオアシスが2024年3月15日付けの書簡により埼玉土地取引についての懸念をDICに伝えた後の約1年にも及ぶ数々の対話においても、入札手続きの存在は一切言及されておらず、かつ、このような主張を裏付ける証拠も提示されておらず、このような主張は2025年3月14日付けの開示において突如として行われているものです。

仮に開示された内容の通り、複数の信託銀行によって「入札」手続きが準備されたのであれば、DICのメインバンクである三菱UFJ銀行のグループ企業である三菱UFJ信託銀行が入札手続きに選ばれないのは不自然です。また、仮に三菱UFJ信託銀行が入札手続に関与していれば、DICと同じく三菱UFJ銀行をメインバンクとする三菱地所は、間に日誠不動産をわざわざ介することなくDICから直接土地を購入することができたはずと考えざるを得ません。日誠不動産が埼玉土地をDICから取得後、当該土地を大型マンション用地(総戸数117戸)としてわずか2か月以内に三菱地所グループに転売した事実を前提とすれば、日誠不動産を通さずに埼玉土地を直接三菱地所の子会社へ売却すれば、DICは埼玉土地を日誠不動産に売却した価格よりも高い価格で売却できたはずです。

オアシスは、関連当事者取引にかかるガバナンス体制の強化を目的とした定款変更議案を株主提案として提出しておりますが、下記事項を含む埼玉土地にかかる取引の真相は、株主の判断にも大きく影響を及ぼし得る重要な事実です。

  1. 入札に際して、三菱UFJ信託銀行が仲介業者として参加したのか
  2. 三菱地所レジデンスが入札手続に参加したのか否か。また、入札手続に参加した会社は何社で、DICは入札参加者に関しどのような基準・方針に基づき入札手続の募集を募ったのか
  3. 仮に三菱地所レジデンスが入札手続に参加していないとした場合、従前より合弁事業の相手先として取引関係のあった三菱地所グループを入札に招待しなかった理由

しかしながら、DICは選択的な開示を行うのみで、上記のような株主からの当然の疑問に応えるような適切な開示に失敗しています。

美術館の将来に関する川村氏の関与に関するDICの主張に残る疑義

DICは、オアシスとの対話を通じて、川村氏については、正式な取締役会決議には参加させないものの、取締役会における議論や価値共創委員会のメンバーとの個別の議論等、美術館の将来に関する議論については、参加させるべきであるとの方針を明らかにしておりました。現に、オアシスとの昨年10月21日の面談において、池田氏は、川村氏が現にこのような議論に参加している事実を明言されただけで無く、川村氏を議論に関与させるべき理由として、大要以下のような主張を展開されております:

  • 「例えば、ある美術品があって、それを最も高く売りたい場合に、それを実現するネットワークを誰が持っているのかを考えたときに、創業家の持っているネットワークを除くと、最大の価格で美術品が売れないということが可能性として考えられる」

今般、国際文化会館との協業(以下「本件協業」といいます)に関し、DICは「川村氏が、本件協業に関する取締役会の審議及び決議において、国際文化会館を協業先として選定するよう助言し、又は影響を及ぼした事実はございません。」との主張を展開しました。しかし、上記方針や議論の実態を前提とすると、川村氏による事実上の影響力の行使の有無につき、疑問を持たざるを得ません。そもそも、オアシスは、DICに対して、「川村氏[の]取締役会における議論への参加状況」を質問していましたが、DICは「本件協業に関する取締役会」に「助言、又は影響を及ぼした事実」がないとのみ回答し、オアシスの質問(つまり「川村氏[の]取締役会における議論への参加」の有無)に応えていません。DICの一連の開示は、美術館の将来に関する議論に対する川村氏の一定の関与(例えば、取締役会への参加の事実)を明確には否定できないため、オアシスの質問に対して明確な回答を行うことを意図的に回避しているものであるとオアシスは考えております。

DICによるオアシスにとっていわれのない批判

DICは、移設後の美術品の運営について諮問・協力を受けるために有識者を選定したことをプレスリリースで公表しています。オアシスは、これら有識者が川村氏と極めて密接な関係性を有することを指摘いたしました。一方で、これら有識者についてオアシスが指摘した事実は、川村氏との極めて密接な関係性を示す一連の事実のみであります。

また、「適切なエンゲージメントの範囲を逸脱」しているのはDICであり、オアシスが「適切なエンゲージメントの範囲を逸脱」しているとの主張は失当です。取締役会議事録や会計帳簿の閲覧謄写を求めるオアシスの裁判手続きにおいて、DICは、オアシスによる権利行使を認めるべきでないとの主張を大々的に展開している一方で、以下のような明らかに不誠実な主張や対応を展開しております。特に第一点目の行為は不正確な情報の提供を通じて、株主が正確な情報に基づいて適切な意思決定を行うことを阻害するという観点から、最も基本的な株主権である議決権の行使を歪める行為です。その上、裁判手続きにおいて下記のような明らかに事実に反する主張を度重なり行い、それをオアシスに都度訂正させることで裁判手続きを遅延させていることからすれば、DICは会社法上明確に保障された株主権である取締役会議事録や会計帳簿の閲覧謄写権の行使を遅滞させることを目的とした行為を行っているとの評価を免れ得ず、正に「適切なエンゲージメントの範囲を逸脱」しているものであるともいえ、オアシスはDICに厳重に抗議いたします。

  • オアシスは、裁判手続きにおいて、各種関連当事者取引「に関する議論及び決定に関連する」DICの取締役会議事録の閲覧謄写を求めておりました。この表現において求められている開示の範囲は取締役会が「報告」のみを受けた場合も含まれるのは通常の解釈に立てば明らかですが、オアシスは裁判手続きにおいて、その旨(「報告」のみについても開示を求めていること)を書面で明確化しています。にもかかわらず、DICは10年で1,200億円以上にも及ぶ日辰貿易や大日製罐との関連当事者取引に関する取締役会議事録が「存在しない」と主張したことに関連し、オアシスが求めていたのが「『議論及び決定に関する部分』であり、すなわち、当該取引を取締役会が承認する内容の取締役会議事録」のみであるとの独自の解釈をオアシスの株主提案に反対する取締役会意見として公表し、その後の開示においても同様の意見を重ねて表明しております。オアシスが求めていたものが単に「報告」がなされたに過ぎない部分も含まれることが書面上で明確化されていたことを踏まえると、DICのかかる行為は、明らかに事実に反する内容を株主提案に反対する意見の論拠として公表する行為であって、正しい情報に基づいた株主の意思決定とひいては株主による議決権の行使を不当に歪める問題ある行為です。
  • 加えて、それ以外にもDICは明らかに事実と異なると思われる主張を展開しております。例えば、DICが本社を川村家関連団体である日誠不動産が保有する日本橋のビルからワテラスタワーに一時移転した際に、DICは日誠不動産から敷金の返還を受けていません。この理由としてDICは、大要、「本社の一時移転先であったワテラスタワーの移転先フロアが日誠不動産に所有されており、そのために、日本橋の本社ビルの敷金について、日誠不動産からの返済を要求せず、日誠不動産が所有しており一時移転先であったワテラスタワーへの敷金に充当した」と裁判手続きにおいて主張しております。オアシスはワテラスタワーの当該フロアの登記を取得しておりますが、ワテラスタワーの当該フロアは一度も日誠不動産に所有されていない事実を確認しています。
  • また、川村育英会との関係においても「令和6年3月末」つまり2024年3月末にサポートの提供を停止したとの主張がDICによって展開されています。一方で、オアシスは2024年6月時点で川村育英会宛ての書類提出先がDIC総務人事部であった事実を確認しています。

このように、関連当事者取引に関する深刻な懸念が存在しているにも関わらず、DICは、最大の少数株主であるオアシスに対して、関連当事者取引の相手方企業を支配する創業家一族の一員である川村氏との面談機会の提供を拒否し続けています。DICが「適切なエンゲージメント」を求めるのであれば、DICはまずは裁判手続きや開示おいて数々の不誠実な主張を行ったことについて謝罪を行い、オアシスと建設的かつ透明性を持った対話を行うべきです。

また、DICは国際文化会館との合意について、「秘密保持義務」の存在を理由として、踏み込んだ開示を行うことを拒否し続けています。結果として、DICの保有する資産の中でも、最も価値ある資産の一つである美術品についての株主の知る権利が阻害されています。DICはこれらの問題すべてについて透明性を持った対応をすべきであり、透明性の担保はDICの重要な資産である美術品の取扱いに関する合意においても譲るべきではない点であったはずです。特に、2024年3月12日のプレス・リリースによれば、本件協業に伴い、ロスコ・ルームという特別の展示室を建設することが予定されているようですが、国際文化会館との合意上、本件協業を通じて、究極的に株主に帰属する財産の処分権を事実上長期にわたって失うことにならないのか(つまり必要に応じて、DICの意向により、自由に協業を解消し、自由に協業の対象となっている美術品を処分可能なのかどうか)や美術館の建設費や運営費について、DICが何らかの負担を予定しているのか、といった株主からの当然の疑問に応えるような適切な開示に失敗しています。

DICの一連の行動は、株主に帰属する財産を取り上げ、当該財産及び/又はその支配権を実質的に川村喜久氏、そして川村氏に近しい人々や組織の影響下に置こうとする試みであるとのオアシスの評価は変わりません。十分な開示が行われていないものの、本件協業は資産効率を高め、企業価値を高める経営を実現するために機動的に当該財産を活用する選択肢を事実上長期にわたって失う可能性を有するものであり、資本効率を意識した経営を行うことが上場企業経営陣に対しての社会的な要請である中、株主からの付託のみならず、社会からの要請にも明らかに反する行為であるとオアシスは評価しております。

株主利益と明確に利益の相反する一連の行為を反映して、オアシスはDICの株主に対して、来る定時株主総会において以下の投票行動を行うよう要請いたします。

  • 会長の猪野氏に加え、一連の決定を主導した社長の池田氏の再任への反対
  • オアシスによる株主提案である、関連当事者取引の監督を強化する定款変更議案への賛成

詳細については、DICcorpgov.comをご覧ください。DICのコーポレート・ガバナンスをより良くするために、すべてのステークホルダーがオアシスの連絡先info@DICcorpgov.comに連絡することを歓迎します。

オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッドは、さまざまな国やセクターにわたる幅広いアセットクラスの投資機会にフォーカスしている投資ファンドです。オアシスは、現在最高投資責任者 (CIO) を務めるセス・H・フィッシャーによって2002年に設立されました。オアシスに関する詳しい情報は、https://oasiscm.comをご覧ください。オアシスは日本の金融庁の「責任ある機関投資家の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)」を遵守し、この原則に沿って投資先企業のモニタリングおよび、エンゲージメントを行っています。

本プレス・リリースの情報と意見は、Oasis Management Company Ltd(以下、「オアシス」とする)が情報提供目的またはご参考に供する目的でのみ提供するものです。本プレス・リリースは、受領者に対して、 オアシスと共同して特定の会社の株券その他の金融商品取引法における大量保有の状況等に関する開示制度の対象となる有価証券を取得し、若しくは譲渡し、又は議決権その他の権利を行使することを勧誘あるいは要請するものではありません。そのような共同行動をとる株主は大量保有の状況等に関する開示制度の共同保有者とみなされ、共同保有者は一般への情報開示のために合算した保有株式数を関係当局に報告しなければなりません。オアシスは、そのような報告が必要とされる共同保有者としての合意を明示的に締結する例外的な場合を除き、共同保有者としての報告義務を発生させる一切の行為を行わないことをご了承ください。 なお、本書の内容は、オアシスの所見、解釈、および評価にとどまります。


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