調査結果から燃料の大幅節約が判明、脱炭素に向けた海運業界の取り組みをサポートする風力支援推進の可能性を強調
ジュネーブ--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --カーギルが6か月に及んだ「ピクシス・オーシャン」試験期間について期待の持てる結果を発表し、風力支援推進が海運業界を再生可能エネルギーの利用に向けて前進させる可能性が浮き彫りになりました。MCシッピングが保有する「カムサマックス船」にBARテクノロジーズが開発した大型の硬質風帆「ウィンドウィングス®」2基を取り付けたところ、燃料が1日あたり平均3トンに相当するという予想にパフォーマンスが一致しました。
カーギルで海運事業プレジデントを務めるジャン・ディーレマンは次のように述べています。「この結果には励まされます。また、ドライバルク船への風力支援推進の導入について多くのことを学びました。これは当社だけでは決してなし得ませんでした。BARテクノロジーズとMCシッピングのおかげです。両社は船長および乗組員の皆様と同様、ピクシス・オーシャンを現実のものとするにあたって素晴らしいパートナーでした。私たちは海運事業における変化の最前線にいます。そして、風を利用する技術は短期、中期、長期の脱炭素目標を達成するために重要で費用対効果の高い方法かもしれないと考えています。」
ピクシス・オーシャンは2023年8月に進水し、試験最初の6か月でインド洋、太平洋、北および南大西洋を航海し、ケープホーンと喜望峰を通過しました。船には高さ37.5mで飛行機の主翼のような形をしたウィンドウィングス®が取り付けられました。垂直に設置された翼帆が風を捉えて船を前進させるので、エンジン出力を下げても使用燃料の少ない従来型の船と同じ速度で移動することができます。ウィングの操縦はブリッジのタッチパネルで行い、シンプルな信号システムで乗組員に帆を上げ下げするタイミングを伝えます。帆は一度上げると完全に自動運転されます。内蔵センサーが常に風を計測し、帆が自律的に最適な設定に調整します。
風力支援推進は、国際海事機関(IMO)が定めた新たな温室効果ガス戦略に対応する上で費用対効果の高い方法である可能性があります。IMOが掲げる2030年目標のうち1つは、2030年までに炭素排出が極めて少ない燃料の使用を5~10%にすることです。風力支援推進はこれを達成する上で重要な手段かもしれないのです。
初期航海から得られたインサイトは、船上での帆の適用に関するものだけにとどまりません。グローバル海事システムで物流に関する課題が広がっていることも浮き彫りにしました。すべての港、ターミナル、バースが異なることを考慮すると、風力支援推進(WAP)技術をより広範囲のグローバル海事システムに組み込むにはそれらの関与が欠かせないのです。
BARテクノロジーズCEOのジョン・クーパー氏は、次のように付け加えています。「ウィンドウィングス®を設置したピクシス・オーシャンの処女航海に関する結果は、風力支援推進によって確実に燃料を大幅節約し、排出量を削減できることを明らかに実証しています。例えばピクシス・オーシャンは外洋を航海中、ほぼ最適な航海状況のもとで節約した燃料は1日あたり11トンでした。ピクシス・オーシャンのウィンドウィングス®は2基ですが、大半のカムサマックス船には翼帆が3基取り付けられ、燃料の節約と排出量の削減がさらに1.5倍になると予想しています。当社はカーギルとともに、現実の状況下でパフォーマンス予測とモデル化の正当性を確認できるようになりました。ウィンドウィングス®生産の世界展開を始めるのは心躍る瞬間です。」
ディーレマンは次のように述べています。「カーギルはピクシス・オーシャンだけでなく、世界の貿易航路を運行するすべてのWAP船舶のために道を作っています。大規模WAPを持った船が停泊できる方法を見つけるため、これまでに250か所を超える港に参加していただきました。こうした複雑性はカーギルが真に得意とすることであり、海事業界における当社独自の役割を生かせる方法です。当社は開発パートナーとなって投資を行い、提携企業とリスクを分かち合うこと、そして業界の変革に影響を及ぼすことを恐れません。」
カーギルは、規模を拡大する前に最大限の学びを今後行う可能性のある設置設計に取り入れるため、引き続き運転面、技術面、商業面からピクシス・オーシャンの試験と実験を行う予定です。
編集者へのメモ:
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BARテクノロジーズとカーギルは、年平均で1日あたり3トンの燃料を削減すると推定(燃料生産から使用時までの排出量削減11,2/t/日CO2eと同等)。これはピクシス・オーシャンの節約量およそ14%に匹敵する。
これまでに測定した平均パフォーマンスは、カーギル航路で風力支援推進がどの程度機能するか推測するためにBARテクノロジーズによる数値流体力学(CFD)シミュレーションを用いて行った予測の10%以内。
最適な航海状況では、ピクシス・オーシャンは11t/日を超える燃料消費を節約した。これは燃料生産から使用時までの排出量が41t/日CO2e少ない、または排出量が37%削減されると言い換えられる。
上記の平均11.2t/日CO2eは、およそ2650 CO2e/年と計算される(11.2t×年間の平均航海日数237日=燃料生産から使用時まで2650t)。これは自動車480台を道路からなくすことと同等と考えられる。(参考:典型的な乗用車から排出される温室効果ガスの量 | US EPA)
カーギルとMCシッピングは燃料節約の計算を見直し裏付けを取るため、DNVを独立サードパーティーとして雇用した。
ウィンドウィングスについて
カーギル海運について
カーギル海運は、世界中で常におよそ650隻の船舶をチャーターする大手の貨物貿易組織です。1956年にジュネーブで創業し、カーギルのグローバルな事業運営に備わる食料、農業、コモディティー貿易の豊富な遺産と専門能力から恩恵を受けています。当社は他企業やカーギル内部事業を含むお客様を念頭に置いて行動します。最新のデジタル技術にグリーン・ソリューションを組み合わせるサービスを提供し、海運業をより安全で持続可能なものにします。
カーギルについて
カーギルは安全で、責任ある、持続可能な方法で世界に栄養を供給すべく、食品、原料、農業ソリューション、工業製品の提供に取り組んでいます。サプライチェーンの中心を担う当社は、農家やお客様とパートナーシップを組み、生活に欠かせない製品の調達・製造・提供を行っています。
16万人を超えるチームメンバーが目的を持って技術革新に取り組んでおり、事業が成長でき、地域社会が栄え、消費者がより良く生きられるような生活必需品を提供しています。家族経営企業として159年の経験を持っており、将来を見据えつつ自らの価値観に忠実であり続けます。当社は人を優先し、さらなる高みを目指します。今とこれからの世代のために正しい行いをします。詳細はCargill.comとニュースセンターをご覧ください。
カーギルは、排出量を2桁削減する可能性を秘めた大型の硬質翼帆「ウィンドウィングス」を初めて設置した。
カーギルはパートナーであるBARテクノロジーズと協力し、MCシッピングからチャーターしているカムサマックス船のピクシス・オーシャンにウィンドウィングスを設置した。
設置は2023年に中国上海のコスコで行われた。
ピクシス・オーシャンはカーギルがチャーターしている船舶フリートの中で最もエネルギー効率がよいカムサマックス船である。
ピクシス・オーシャンは、可能性のある規模拡大をフリートと業界全体に伝えるために使われる。カーギルは設計、運転、パフォーマンスのさらなる改善方法を継続して学ぶ計画だ。
ウィンドウィングス・プロジェクトは欧州連合の「ホライズン2020」研究イノベーション・プログラムから資金を受けたプロジェクトの一環である(助成金契約番号955286)。
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