ロイコ菌のEPS(粉末)
グラフ:ロイコ菌EPS投与による体重の増減
本研究結果について、2016年3月27日(日)~30日(水)に実施されている日本農芸化学会2016年度大会にて発表しました。
■肥満を抑制するロイコ菌の菌体外多糖
食物繊維などの多糖類は、腸内細菌によって分解され、プロピオン酸、酢酸、酪酸など、ヒトの体に有益な物質「短鎖脂肪酸[*1]」に変換されます。短鎖脂肪酸には、脂肪が過剰蓄積することを防ぐ働きがあります。
乳酸菌が産生する独特のネバネバ物質EPSは、乳酸菌が作り出す多糖の総称です。この度、日東薬品と東京農工大は、マウスを用いた実験を行い、ロイコ菌のEPSに、他の食物繊維と比較し多量の短鎖脂肪酸を腸内で作らせる働きがあり、体重の増加を抑制することを確認しました。
グラフ:ロイコ菌EPS投与による体重の増減
https://www.atpress.ne.jp/releases/96158/img_96158_2.jpg
日東薬品は、ロイコ菌のEPSに免疫力を高める効果があることを、石川県立大学生物資源工学研究所 山本 憲二教授との共同研究を通じ既に確認しています( https://www.atpress.ne.jp/news/55004 )。ロイコ菌のEPSが体の免疫を高めるだけでなく、肥満などの生活習慣病に関連する疾患の予防にもつながる可能性があると考えられます。
■実験結果
ロイコ菌のEPSをマウスに経口投与した結果、以下の効果を確認しました。
(1)腸内での短鎖脂肪酸(プロピオン酸、酢酸)の産生量増加
(2)体重、脂肪重量増加の抑制
■ロイコ菌のEPSが体重増加を抑制するメカニズム
受容体「GPR43[*2]」は、酢酸やプロピオン酸によって活性化されると、脂肪の蓄積を抑制する効果を発揮することが明らかになっています。この度の実験で、ロイコ菌のEPSが腸内細菌によって分解されると、イヌリンなどの短鎖脂肪酸を作り出すことが既に報告されている他の食物繊維と比較して、プロピオン酸と酢酸が多く作られることを確認しております。この結果から、ロイコ菌のEPSから作られた短鎖脂肪酸によってGPR43が活性化され、体重の増加が抑制されると考えられます。
日東薬品は引き続き、ロイコ菌のEPSが持つ効果の研究に取り組むとともに、ロイコ菌のEPSが持つ健康機能を活かした機能性食品などの実用化を目指します。
■注釈
[*1]短鎖脂肪酸
炭素数が6以下の脂肪酸のこと。酢酸、プロピオン酸の他に乳酸や酪酸などがあります。
[*2]GPR43
主に脂肪組織、腸管と免疫系細胞に発現している膜タンパク受容体で、短鎖脂肪酸の刺激によって活性化され、脂肪組織への過剰エネルギー蓄積を抑制し、筋肉でのエネルギー消費を促します。
■会社概要
名称 : 日東薬品工業株式会社
所在地 : 京都府向日市上植野町南開35-3
代表者 : 代表取締役社長 北尾 哲郎
事業内容: 医薬品の研究開発、製造販売、機能性食品の研究開発
URL : http://www.nitto-pharma.co.jp/