学習者用デジタル教科書の操作ログから見た操作傾向の分類
家庭学習における学習者用デジタル教科書(中学校英語)の操作傾向と各単元での音読課題得点
■基本情報
対象校 :つくば市内の公立中学校
学年 :中学校1年生
教科 :英語
人数 :62名
期間 :2021年10月~2022年2月
時間帯 :平日の8:00~16:00を除いた家庭学習時
(※休日、長期休み中は全日含む)
データ件数:6,982件
■研究概要
本研究では、家庭学習時における学習者用デジタル教科書(中学校英語)の操作ログから、各生徒が学習に意味のある操作をどれくらいしていたか(学習の強度)を推測するために、学習上無関係と推測されるログを除外した上で主成分分析を行い、その結果に基づき、生徒の操作傾向を下記の4つのクラスタに分類しました。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/389858/LL_img_389858_1.png
学習者用デジタル教科書の操作ログから見た操作傾向の分類
さらに、各クラスタと音読課題や定期テストの得点との関係を調べたところ、操作ログの各指標がいずれにおいてもある程度高いグループ(クラスタ3)は、音読課題や定期テストにおいてよい成績を収めていることがわかりました。
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/389858/LL_img_389858_2.png
家庭学習における学習者用デジタル教科書(中学校英語)の操作傾向と各単元での音読課題得点
「中学校英語科デジタル教科書の家庭学習時の操作ログと音読課題や定期テストの得点との関連に関する試行的検討(宮西ほか, 日本教育工学会研究会報告集, 2023(2) pp.233-236)」より
また、併せて、操作回数やアクセス範囲は多いものの他の指標が低いグループ(クラスタ2)においては、他のグループと比べて成績が低い傾向にあることもわかりました。
この結果を受けて、研究チームでは、学習者用デジタル教科書を家庭学習においても積極的に活用していくことが成績の向上に繋がった可能性もあると考え、研究を進めています。
また、成績上位者になるほど操作回数のみならず視聴時間が伴うことから、今後は、視聴時間が伴うような課題の出し方や、教師の働きかけの仕方など、効果的なデジタル教科書の活用方法についても研究を進めていきます。
■本研究に関する報告書・学術論文等
◆共同実証研究開始 プレスリリース:2021年10月
つくば市と東北大学、東京書籍、Lentrance「クラウド版デジタル教科書」の学習履歴データ活用に向けた共同実証研究を実施
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/pdf/oshirase/tukubashi_press20211021.pdf
◆2021年度報告書公表:2022年12月
「学習者用デジタル教科書・教材から得られる学習履歴データ分析実証研究 2021年度 報告書」
概要版
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/pdf/oshirase/tukubashi_empirical_research_report_overview.pdf
◆東北大学研究チーム 学術研究一覧
(1) 2022年12月3日 日本教育工学会研究会
宮西祐香子,長濱澄,川田拓,清遠和弘,殿岡貴子,松田諒平,堀田龍也 (2022) 中学校英語科デジタル教科書の家庭学習時の操作ログに基づく端末利用の実態把握の試行的検討. 日本教育工学会研究報告集, JSET23-4, pp.98-105
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsetstudy/2022/4/2022_JSET2022-4-B3/_article/-char/ja
(2) 2023年3月 国際学会(Learning Analytics and Knowledge Conference)
Miyanishi, Y., Nagahama, T., Kawada, T., Horita, T. (2023) A Trial Study on Understanding Operational Tendency of Device Use Based on Operation Logs during Home Study Using Japanese Authorized Digital Textbooks. Learning Analytics and Knowledge, 13th International Conference on Learning Analytics and Knowledge LAK23
(3) 2023年7月 国際会議(AACE EdMedia + Innovate Learning 2023)
Miyanishi, Y., Nagahama, T., Kawada, T., Horita, T. (2023) A Trial Study of Understanding the Actual Conditions of the Time and Frequency of Device Use Based on Operation Logs of Japanese Junior High School English Digital Textbooks during Home Study. AACE Proceedings of EdMedia + Innovate Learning 2023, pp.1544-1547
(4) 2023年7月29日 日本教育工学会研究会
宮西祐香子, 長濱澄, 川田拓, 清遠和弘, 殿岡貴子, 松田諒平, 堀田龍也 (2023) 中学校英語科デジタル教科書の家庭学習時の操作ログと音読課題や定期テストの得点との関連に関する試行的検討. 日本教育工学会研究会報告集, JSET23-2, pp.233-236
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsetstudy/2023/2/2023_JSET2023-2-C8/_article/-char/ja
(5) 2023年9月17日 日本教育工学会秋季全国大会
宮西祐香子, 長濱澄, 堀田龍也 (2023) 中学校英語科家庭学習における音読課題を前提にしたデジタル教科書の利用に関する一考察. 日本教育工学会 2023年秋季全国大会講演論文集, pp.481-482
(6) 2024年3月2-3日 日本教育工学会春季全国大会
宮西祐香子, 中川哲, 長濱澄, 堀田龍也 (2024) 中学生の家庭学習における英語デジタル教科書の音声機能活用と音声に対する意識の変化に関する一検討. 日本教育工学会 2024年春季全国大会講演論文集, pp.471-472
(7) 2024年3月 国際学会(Learning Analytics and Knowledge Conference)
Miyanishi, Y., Nagahama, T., Nakagawa, S., Horita, T. (2024) A Trial Study on Understanding the Influences of Japanese Certified e-Textbook Usage in Classroom on Academic Performance Changes. Learning Analytics and Knowledge, 14th International Conference on Learning Analytics and Knowledge LAK24
(8) 日本教育工学会論文誌
宮西祐香子, 長濱澄, 堀田龍也 (2023) デジタル教科書の操作ログを用いた一斉授業時の授業進度からの相対的な遅れの把握の試み. 日本教育工学会論文誌, 47 (Suppl.), pp.221-224
【東京書籍株式会社】
代表 : 代表取締役社長 渡辺 能理夫
所在地 : 〒114-8524 東京都北区堀船 2-17-1
資本金 : 8,000万円
創業 : 1909年
事業内容: 教科書並びに教育図書の出版・販売、一般図書の出版・販売、
教材・教具、教育ソフト等の製造・販売
URL : https://www.tokyo-shoseki.co.jp/
【株式会社Lentrance】
代表 : 代表取締役社長 石橋 穂隆
所在地 : 〒100-0004 東京都千代田区大手町1-6-1
資本金 : 12億5,000万円
創業 : 2018年
事業内容: 学習用ICTプラットフォーム「Lentrance」の開発・提供、
上記に伴う関連サービスの提供
URL : https://www.lentrance.com/
※記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。