特許調査における再現率比較
知的財産分野でもAI(人工知能)の利用が始まりました。知的財産分野におけるAIの利用目的は、競合となる特許の類似度を自動的に判定することでしたが、ネット情報や電子メールなどと異なり、特許調査の場合は、特有の課題として権利的な価値評価を伴うため、AIによるテキスト判定だけでは限界がありました。また、技術分野や教師データの選択によっても判定の良し悪しに大きな差が出るなど実用化するには、AIの仕組みの理解や実務における経験、ノウハウの修得などがハードルとなっていました。
当社では、2017年に関連特許とノイズ特許の分布状態を散布図により可視化できる「Deskbee」を発売しました。この間、様々な知的財産専門の研究会を通して、これまでに200社以上の企業に特許AIシステムの検証環境を無償提供し、企業のAIに対する理解促進と実用化に向けた研究と業務ノウハウの積み上げに協力してまいりました。
特許データには企業固有の権利価値情報が含まれていません。また教師データに不適切な特許データが含まれていると評価精度が落ちることになります。そこで、「特許の権利的価値の判定」と「教師データの自己評価」の2つの課題を解決する「再学習機能」を新たに開発することで、大幅な判定精度の向上が実現することができました。
■(機能1)価値情報をAI判定にインプット
権利的価値を評価する上で重要な情報は、特許の構成要件(関連ワードまたはノイズワード)ですが、AI処理後の判定結果に対して、重要な構成要件を含む特許を利用者が可視化して教師特許を調整した後AI再学習ができるようにすることで、簡単に利用者の価値情報を判定に加味することが可能となりました。ワード条件で該当する特許の全部または一部を教師データに含めて再判定することにより、評価精度の向上を実現しました。
■(機能2)教師データを自己判定で精緻化
予め選定した教師データは、必ずしも最良のものとは限りません。教師データをAIに掛けて自己判定することで適切なのか不適切なのかが分かります。仮に不適切な教師データがあれば除外することで教師データの精巧化を図ることができ、評価精度の向上が可能になります。
このように「Deskbee4」は、利用者自身が「再学習機能」を利用して「スクリーニング率30%以内で正解率100%」も可能な“AIと人”のキャッチボールを実現しました。
今後3年間で100社への導入を目標にしています。
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/194841/LL_img_194841_1.jpg
特許調査における再現率比較
平均的に全体の約30%がほぼノイズ判定として効率化できることをAI利用可否の目安としていました。
Deskbee4は、利用者自身が再学習インターフェースを利用して「スクリーニング率30%以内で正解率100%」も可能な“AIと人のキャッチボール”ができる再学習機能を実現しました。
『醜いアヒルの子』定理
醜いアヒルの子を含む n 匹のアヒルがいるとする。このとき、醜いアヒルの子と普通のアヒルの子の類似性は、任意の二匹の普通のアヒルの子の間の類似性と同じになるという定理。
“醜いとはこういう条件ですよ!”と教えてあげれば正解が出てきます。これが「再学習機能」の目的です。
■会社概要
商号 : アイ・ピー・ファイン株式会社
代表者 : 代表取締役社長 古川 智昭
所在地 : 本社 奈良市大宮町6丁目3番4号
大阪事務所 大阪市天王寺区生玉町11-28
設立年月 : 2003年2月
主な事業内容: R&D知財グループウェア「THE調査力」の提供
世界特許情報全文検索サービス「Japio-GPG/FX」の代理販売
中国特許インターネット検索サービス「専利SEARCH-i2」の運営
NRIサイバーパテントデスク2の販売斡旋
知的財産社内システムの受託開発
中国・東南アジア諸国の受託調査及び社内データベース受託製作
決算期 : 毎年9月
従業員数 : 25人
資本金 : 1,200万円
URL : http://www.ipfine.com/