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「早く日本語うまくなりな」 娘と深く交流したい…夜間中学に通う母


2025年4月に滋賀県で初めて夜間学級が開設され、多様な年齢や国籍の生徒が新たなスタートを切っている。中国出身の山本夕愛さんは、母国を離れ日本の生活に馴染むため、日本語を学び直す決意を固めた。彼女は、湖南市で給食センターに勤務しながら、家庭のために食事を準備し、夜間学級で学び続ける日々を送っている。山本さんは、日本語を流暢に話すことで家族とのコミュニケーションを深めたいと願っている。さらに、医療関係の資格を取得し、中国語と日本語の通訳として病院で働く新たな目標も立てた。彼女は多くの留学生が直面する言語の壁を乗り越え、手助けをするために努力している。

 全国で夜間中学・夜間学級が増加傾向にある中、2025年4月に滋賀県でも初めて夜間学級が開設された。さまざまな年齢や国籍の生徒たちはどんな思いを胸に学び直しているのか。夜の教室を訪ねた。

娘から励ましの言葉

 中学1年になった娘に毎日のように言われる。「早く日本語うまくなりな」。滋賀県湖南市立甲西中の夜間学級に入学して2カ月になる中国籍の山本夕愛(ゆあ)さん(44)=湖南市。仕事と学び直しの両立で目も回る忙しさだが、そんな励ましの言葉が心地よい。

 湖南市の給食センターで午前8時半から午後1時まで働き、自宅に戻った後、仕事の汗を流して、買い物をして、夫と娘の夜の食事を作る。夜間学級は午後5時半ごろからで「自分は食べる時間がない」。1日4時限の授業を午後8時45分ごろまで受けて帰宅してから食卓につく。息つく暇もないが、教室では「先生がどうやったら楽しくできるのか考えて、工夫して授業してくれる」と充実した時間を過ごしている。

 「上手に日本語を話して、自分の子供ともっと深く交流したい」。これが山本さんが学ぶ理由だ。

日本語でつまずく日常

 中国で生まれ育ち、約20年前に中国人の夫の仕事の関係で日本に来て、16年前から湖南市に移り住んだ。専門学校2年生の息子は既に家を出ている。息子と娘は日本で生まれ育ち、自分たち夫婦は中国語、子供は日本語を話す家庭環境だった。

 普段の会話は成り立つ。だが、言葉を通じては、ずっと親らしいことができなかった。子供が学校の授業が分からないと話しかけてきても、「うまく日本語で話せないし、子供も中国語が分からない。私は教科書を見ても分からない」。力になれなかった。

 娘は習字とダンス、ピアノの習い事をしている。教わっている先からの連絡が親の自分に頻繁にある。子供の習い事をサポートするのに大事な連絡だが、日本語の読み書きも不自由で、いつもやりとりに苦労してきた。

 ある時、娘が学校から持ち帰ってきた資料で甲西中の夜間学級の開設を知った。日本語を学びながら中学校の勉強もしたいと、県外の夜間中学に興味を持っていたが、子育ての忙しさもあり入学を諦めていた。日本語でつまずく子供との日常をなんとかしたい――。子育てが落ち着いた今、入学してみようと決心した。

「病院で働きたい」新たな目標

 ハードスケジュールは苦にならない。教室は日本語が達者な人ばかりではなく、「いろいろな国籍の人もいて自分の知識が増えていって楽しい」と目を輝かせる。

 流ちょうな日本語で、子供と勉強や生活の深い内容の話をするという未来に向かいながら、新たな目標もできた。夜間学級を卒業したら専門学校に行き、中国語と日本語の通訳をする医療関係の資格を取得したいという。日本の病院で症状がうまく伝えられず、医師に聞けないことも度々あった。「多くの留学生も困っていると聞く。手助けになるよう病院で働きたい」。日中働き夜学ぶせわしなく続く毎日の先に道が続いている。【菊池真由】

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