
パレスチナ自治区ガザ地区では、住民が深刻な食料不足に直面しており、餓死する子供も相次いでいる。データが示すガザの人道状況は、悲惨さを極めている。
国連人道問題調整事務所(OCHA)が5月28日に発表したまとめには、衝撃的な数字が並ぶ。
「100%」。ガザの人口約210万人のうち、何らかの食料不足に直面している人の割合だ。
このうち47万人は、食料の状況を示す国際的な指標で、5段階で最悪の「壊滅的飢餓」に直面している。さらに100万人が2番目に悪い「人道的危機」にある。
全世帯の9割は十分に安全な水を利用できず、妊婦や授乳中の女性、2歳未満の子供の92%が栄養失調に陥っている。イスラエルが支援物資の搬入を止めていた3月上旬から約2カ月間だけで、少なくとも57人の子供が餓死したとも報じられている。
食料の生産能力は壊滅的だ。イスラエル軍による退避勧告が出たエリアは、ガザ地区の総面積の8割超に及ぶ。2023年10月にガザ地区のイスラム組織ハマスによる越境攻撃をきっかけに戦闘が始まる前と比べると、使用可能な耕作地は5%未満に減少。漁船は7割超が破壊され、家畜として飼っていた羊やヤギも3分の1に減った。
イスラエルは5月中旬から支援物資の搬入を認め、4カ所で新たに食料の配布拠点を設けた。しかし、必要量には遠く及ばず、「大海の一滴」にすぎないとの指摘もある。【カイロ金子淳】