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ベルマーク協賛企業が減少 「PTA保護者の負担」と脱退も


ベルマーク運動は商品パッケージに付いているマークを集めて学校の備品を購入する活動ですが、最近では協賛企業の減少やPTA活動としての負担が問題となっています。さらに、コロナ禍での作業制限や、手間に対する不満も浮上し、一部企業は脱退を決断。しかし、ベルマーク運動は保護者同士の交流の場としての役割もあります。参加団体数は微減傾向にあるものの、未だ多くの学校が参加し、年間約3億円分の点数が集まっています。ベルマーク教育助成財団は運動の趣旨を支持し続ける企業の増加を目指し、運動の維持を図っています。

 購入した商品のパッケージにあるマークを切り取って集めると1点1円に換算され、学校の備品が購入できる「ベルマーク運動」。その仕分けや集計作業などはPTA活動で実施されることが多い。ところが近年、商品にマークを付ける協賛企業が減少。「活動に携わる保護者の負担になっている」という理由で企業が脱退するケースもあった。

 ベルマーク運動では、食品や文具、日用品などの商品パッケージからマークを切り取り、協賛企業ごとに仕分け、点数ごとに分類して計算し、整理袋に入れて確認するなど、多くの手作業を伴う。PTAでベルマークの作業を経験した保護者たちからは「想像以上に時間がかかり、生産性が低い」という声が上がることも少なくない。

 数年前、ある企業の社内会議でこんな疑問の声が上がった。「ベルマークはわが社の社員も含めた保護者たちの負担になっているのでは?」

 この企業ではこうした声を受け、協賛企業からの脱退を決めた。広報担当者は「ベルマーク運動の理念は素晴らしく、長年にわたって賛同し続けてきた」と前置きした上で、「時代に合った社会貢献とは何かと考え、社会課題解決に取り組む団体などに直接、寄付することに切り替えた」と話した。

コロナ禍で作業難しく

 PTAのベルマーク運動については否定的な見方がある一方で、「保護者同士が『最近、どう?』と会話しながら作業することは交流につながり、細々とした手作業が好きな人もいる」という肯定的な声もある。

 ただ、2020年春以降の新型コロナウイルス禍では、濃厚接触を避け、こまめな手指消毒と換気が推奨された。2センチ四方前後に切り取られたベルマークは、開けた窓から風が吹けば飛んでしまう恐れがあり、保護者たちが会話を楽しみながら仕分け作業をすることが難しい状況も生まれた。

 近年、脱退した別の企業は「ベルマーク運動の縮小傾向や、PTA活動の一環として取り組む保護者から否定的な意見が上がっていることが判断要素になった」という。

 ベルマーク運動の事務局を務める「ベルマーク教育助成財団」によると、ベルマーク運動の始まりは1960年。「すべての子どもに等しく、豊かな環境の中で教育を受けさせたい」と財団が設立され、全国のPTAに参加を呼びかけ2263校でベルマーク運動が始まった。06年からは幼稚園や小中学校、高校だけでなく大学や公民館なども参加対象とするようになったという。

 財団の事業報告書によると、参加団体数は微減傾向が続いており、18年3月末で2万7113団体だったのが、24年3月末は2万5788団体へと減少した。財団は取材に対し「少子化などで学校の統廃合もあるが、大きな変化はなく全国参加を維持している。社会全体で取り組めるボランティア運動となっている」と強調する。現在も全国の小学校の約7割、中学校の約6割が参加しており、年間約3億円分の点数が寄せられているという。

 一方で、協賛企業は19年の53社から25年4月現在は43社へと減った。財団はこの点について「各社のさまざまな事情で変動があるが、これからも『子どもたちの笑顔のために』という運動の趣意に賛同いただけるように活動を続けていきたい」とコメント。今後については「参加団体には特にコロナ禍以降、さまざまな工夫をして運動に取り組んでいただいている。『無理なく、無駄なく、根気よく』をモットーに活動を継続していきたい」と話している。【前本麻有、塩路佳子】

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