starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

都会暮らしの新形態? 家賃高騰で相次ぐ「職住一体型シェア賃貸」


地価や家賃の上昇が続く中、若者の住環境には変化が見られる。テレワークの普及に伴い、最低限の設備で暮らす「ミニマル」スタイルが人気となり、シェアハウスの需要が増加している。不動産業界では、職住一体型や共用スペースを活用した新しい賃貸マンションが登場している。例えば、東京都品川区に完成した「TOMORE品川中延」は共用ワーキングスペースを設け、1人暮らしの住環境を改善。若者のニーズに応える物件提供が進んでいる。他の大手不動産企業も、女性向けやファミリー層向けの多様な賃貸マンションを提供しており、家賃は上昇傾向にあるが、共用施設を充実させることで新たな価値を提供しようとしている。

 地価の上昇とともに、都心部を中心に家賃も高騰している。都会暮らしのハードルは上がる一方だが、テレワークの浸透などで若者が求める住環境には変化もみられる。不動産各社は新たなニーズに即した物件の投入を競っている。

職住一体型のシェア賃貸

 賃貸マンションの家賃は上昇傾向が顕著だ。不動産情報サービス「アットホーム」によると、1月の平均募集家賃は、単身向け(30平方メートル以下、東京23区)が9万6876円で前年同月比5・9%(5367円)上がった。カップル向け(30~50平方メートル)は15万7951円と、26カ月連続で最高値を更新した。

 東京23区の家賃はこの10年で2~4割高くなっている一方、20~30代の平均給与の伸びは1割ほどにとどまるとのデータもあり、若者にとって23区内は以前よりも住みにくい場所になっているとみられる。

 こうしたなか、東京都品川区に野村不動産の11階建て新築賃貸マンション「TOMORE(トモア)品川中延」が完成し、3月から入居が始まった。

 都営浅草線・中延駅から徒歩1分、総戸数は135戸で間取りはワンルーム。各戸の専有面積は12~15平方メートル(約7~9畳)と狭いが、シャワーやトイレ、洗面台はそれぞれ備わる。1階のワーキングスペースと、7階のリビング(約95平方メートル)が共用だ。日中は共用スペースに専属スタッフが常駐し、住人の興味に応じたイベントの開催などを通じて交流に一役買う。

 家賃の上昇に加えて、テレワークや、無駄を省いた最低限のものや設備で暮らす「ミニマル」な生活スタイルも若者を中心に広がり、シェアハウスは増加傾向にある。ただ、都内では大半が収容人数30人未満で築年数20年以上のものが多く、総戸数100戸を超える大型の新築物件は珍しい。

 中延駅周辺のワンルームの平均家賃は月12万円前後が相場で、新築では14万円台も出てきているという。トモアは最も安い部屋で共益費を含めて月10万5000円。仲介手数料や敷金・礼金はかからない。

 2月から始まった内覧会には200件以上の予約があり、20~30代が8割、女性が56%を占めた。職業別では会社員が78%で最も多く、すでに約50件の入居申し込みがあるという。

 野村不動産は首都圏を中心に年間5棟ペースで事業拡大を目指す。黒田翔太・賃貸住宅事業二課長は「日本では住みたいと思える1人暮らしの環境が育っていない。さらなる家賃の高騰が見込まれるなか、1人暮らしのあり方をアップデートしたい」と話す。

小ぶりでも自由なスペース確保

 三井不動産レジデンシャルは2024年春、東京都文京区にある三井不動産の社員寮をリノベーションし、1人暮らしの女性向け賃貸マンション「SOCO HAUS KORAKUEN(ソコハウス後楽園)」を開業した。

 家賃を抑えようと居住スペースや設備を狭小にした物件が増えるなか、台所や使用頻度の少ない家具・家電を共用部に置くことで、各戸16~18平方メートルほどと小ぶりながらも自由に使えるスペースを確保した。家賃は管理費込みで月12万1000円から。総戸数76戸はほぼ満室で、第2弾の開業も検討している。

 三菱地所レジデンスは3月、横浜市中区に職住一体型の賃貸マンション「The Parkhabio SOHO(ザ・パークハビオソーホー)横浜関内」を完成させた。総戸数84戸で、ワンルームから2LDKまであり、ファミリー層にも対応する。120平方メートルの共用ワーキングスペースのほか会議室や個室も備え、法人登記もできるのが特徴だ。【佐久間一輝】

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2025
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.