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高額療養費、8月からの負担上限引き上げを見送りで調整 政府


政府・与党は、医療費負担を抑える「高額療養費制度」の限度額引き上げを見送る方向で調整を進めている。患者団体などからの批判を受け、現行の負担額を維持する方針だ。当初の計画では2027年までに段階的な引き上げが予定されていたが、物価や賃金の上昇による負担増を懸念する声が強まり、見直しへと至った。見送りは3度目となり、8月改定案が凍結される可能性が高い。参院選への影響や患者への配慮から、政権はさらなる検討に入る。

 政府・与党は、高額な医療費の患者負担を抑える「高額療養費制度」の8月からの引き上げを見送る調整に入った。患者団体などから「負担限度額を引き上げられたら、治療を続けられない」などの批判が上がっていた。正式に決まれば修正は3度目で、8月以降も患者負担は現行のままとなる。

 政府は当初、8月から2027年8月にかけて3段階で、年収や年齢ごとに設定されている負担限度額を引き上げる方針だった。物価や賃金が上昇しており、高額な医薬品などで医療費が増大しているのが主な理由だが、年末の見直しの過程で患者団体へのヒアリングを実施しなかった点に批判が集中。全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は「いったん立ち止まってほしい」と訴えていた。

 1度目の修正で長期療養者の負担を軽減する「多数回該当」の見直しを撤回したが、見直し凍結を求める声はやまなかった。このため、2月28日の衆院予算委員会で石破茂首相は8月から物価や賃金の上昇分のみを反映した引き上げを表明する一方、来年8月以降の対応について、今秋までに改めて再検討する意向を示していた。

 しかし、夏の参院選への影響を懸念する声が与党内で根強く、自民党の佐藤正久幹事長代理は6日、がん患者団体が求める凍結へ「政治が決断すべきだ」と述べていた。

 石破首相は近く患者団体と面会する意向を示しており、こうした方針を伝えるとみられる。【神足俊輔、野間口陽、高橋祐貴】

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