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「ついにニッセイが本気を出した」 日本生命1.2兆円買収の勝算は


日本生命保険が1兆2000億円を投じ、米国や豪州で生命保険事業を展開する「レゾリューションライフ」の買収を発表。これは国内保険会社として過去最大規模の買収。国内市場の縮小を見越し、海外での収益拡大を目指す意図が背景にある。これにより、同社の海外収益割合は20%に拡大する見込み。日本生命は今後も積極的な海外投資を続け、特に米国と豪州市場での成長を狙う。買収のための投資枠2兆円は、ほぼ使い切る形となった。過去の豪州子会社「MLC」への投資経験があり、慎重な事業戦略に向けた準備も進めている。買収後には、豪州の子会社を統合し市場シェアを拡大する。 しかし、過去の投資で得られる利益が予想通りでない例もあり、今回の買収が期待通りの成果を上げるかには不透明な部分も残る。

 日本生命保険が、国内保険会社としては最大規模となる1兆2000億円の買収を発表した。出遅れていた海外で巻き返しを図ろうと、一気に勝負に出た。

 「一段高いステージに踏み出せた。収益拡大を目指すベストな選択として一気に取得する判断に至った」。日本生命の清水博社長は11日の記者会見で、米国や豪州などで生命保険事業を展開する「レゾリューションライフ」を買収する意義を語った。

 国内の生保大手は、人口減少が進み生命保険の販売が縮小するとみて、2015年ごろから海外企業のM&A(合併・買収)に乗りだし、新たな収益源を確保してきた。

 収益の源は、世界最大の保険大国の米国だ。15年から16年にかけて第一生命ホールディングス(HD)や明治安田生命保険、住友生命保険が相次いで4000億~6000億円規模(当時の為替レート)で米生保を買収した。

 一方、日本生命はアジアや米国などで出資を続けてきたが、規模としては小ぶりだった。本業のもうけを示す「基礎利益」のうち、海外事業が占める割合は4%(23年度)。これに対し、ライバルの第一生命HDは海外の利益が30%弱(24年9月末時点)あり、大きく水をあけられている。

 清水社長は「国内が先細るから海外事業を加速するわけではない」と強調しながらも、「(基礎利益を増やすことで保険の)契約者の利益を充実させるためには、より成長する海外への展開が必要だ」と語った。

 レゾリューション買収の布石として、日本生命は26年度までの3年間で海外事業の拡大に向けて2兆円を投資する計画を今年3月に発表した。12月には米生保「コアブリッジ」に約5800億円を出資し、約22%の株式を取得した。

 レゾリューションに対しても19年から出資を続けており、取締役も送り込んで事業価値を慎重に見極めてきた。レゾリューションは、他社の保険契約の買い取りや再保険など、日本生命が手がけていない事業者向けサービスを展開している。米国や豪州は今後も市場の成長が予想され、買収の決め手となった。海外の利益は買収後、約20%に増える見込みだ。

 これで26年度までの2兆円の枠は、早くもほとんど使い切ることになる。他の生保関係者からは、業界首位の大きな決断に対し「ついにニッセイが本気を出した」と驚きの声が上がった。

 1ドル=150円台の円安局面となっており、ドル建ての買収費用が膨らんだ面もあるが、清水社長は「短期で売り渡して利益を得るビジネスとは考えていない。為替は判断の優先順位としては高くはない」と説明。レゾリューションは長期保有し、利益を回収する意向だ。さらに26年以降も投資を続ける方針で、「状況を見ながら、よいタイミングで引き続き投資を実行したい」と意欲を見せた。

 ただ、買収のメリットが予想通り得られるかは確実ではない。19年に出資した豪生保子会社「MLC」は、現地の出資を巡る規制が強化され、複数回の追加出資を余儀なくされて利益が伸びていない。国内では、15年に子会社化した大樹生命も不振が続いている。

 レゾリューションの買収後には、豪州の同社子会社とMLCを統合させる予定。2社が統合すれば豪州3位のシェアを握る公算が大きく、現地の収益基盤強化を目指す。未曽有の大勝負に打って出た日本生命の経営手腕が問われる。【井口彩】

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