立ち小便を理由に解雇されたトレーラー運転手が解雇の妥当性を争っていた訴訟で、東京地裁が「解雇は無効」とする判決を言い渡していたことが判明した。
判決は、運転手が勤務していた東京都内の運送会社と雇用関係にあると認めた。塩原学裁判官は「解雇は社会通念上、相当ではない」と理由を述べた。
10月4日付の判決によると、運転手は2022年8月、千葉県のコンビニエンスストア駐車場で、運転していた会社のトレーラー付近で立ち小便をした。
行為を目撃した第三者から通報を受けた会社は運転手に22年10月をもって解雇すると伝えた。
運転手側は訴訟で「コンビニのトイレが使えなかった」と主張したが、判決は「事実に反する。運転手の説明は虚偽」と認定。運転手は立ち小便時に尿がトレーラーにかかる可能性が高いことを認識していたとし、「会社の車両を大切にしない行為だ」と運転手を批判した。
一方で、立ち小便が1回の行為であり、運転手としての業務に特段の問題はなく、過去に懲戒処分を受けたこともない事情を挙げて、解雇は相当とした会社側の主張を退けた。
会社側は判決を受けて控訴したとし、「コメントは差し控える」とした。【菅野蘭】