米大リーグで30日(日本時間31日)、大谷翔平選手が所属するドジャースがヤンキースとのワールドシリーズを制した。レギュラーシーズンでも史上初の「50本塁打、50盗塁」を成し遂げた大谷選手だが、その偉業を妻真美子さんとともに支えたのが愛犬の「デコピン」だ。
デコピンは大リーグの公式サイトでこの1年を振り返る特集が組まれるほどの人気ぶりで、日本でもその名が付けられた犬が増えただろうと思いきや、このほど発表された犬の名前ランキングでは意外な結果が出た。
始球式にも登場
大谷選手に愛犬がいることが公になったのは、エンゼルス時代の2023年11月、ア・リーグ最優秀選手(MVP)に輝いた時だ。MLB専門局の番組に中継で登場した際、大谷選手がなでている犬が注目の的となった。
名前には触れられなかったが、同12月に移籍先のドジャースの入団記者会見で質問され、本人が「デコピンっていうんですけど」と明らかにした。
大谷選手は由来について、家に迎える前に付けられていた元の名前「ディコイ」にちなんだと説明した。
犬種はオランダ原産の狩猟犬「コーイケルホンディエ」とみられる。別名「ダッチ・ディーコイ・スパニエル」とも呼ばれることが関係しているとの推測が広がるなど、そのユニークなネーミングは日米で話題になった。
シーズン開幕後も大谷選手がSNS(ネット交流サービス)などにデコピンと触れ合う様子を投稿したことで、人気が加速。デコピンは始球式にも登場し、捕手役の大谷選手の元へボールを運ぶ見事なプレーも披露した。
また、大谷選手が試合中に着用する特注スパイクにもデコピンのイラストが描かれた。
「ショウヘイ」は548位
世界的に有名な犬とあって、犬の名前ランキングを毎年発表しているペット保険の「アニコム損害保険」も当然、注目していた。
だが、23年10月1日~24年9月30日に保険に新規加入した0歳の犬13・6万頭を調べたところ、「デコピン」はわずか3頭で、ランキングは1648位。大谷選手自身にちなんだと見られる「ショウヘイ」の548位(15頭)よりも低い結果となった。
アニコムの担当者によると、前回の調査では「デコピン」は1頭も登録がなく、大谷選手の愛犬にちなんで付けられたのは間違いないとみられる。
そのうえで、担当者は「ペットの場合、他の飼い主が付けた名前よりも、自分の思いを込めた名前のほうがより愛着を持ちやすいのかもしれない」と分析する。
3頭に付けられたデコピン、実は健闘?
明治安田生命が毎年発表するその年に生まれた子どもの名前ランキングでは、スポーツ選手などの著名人にちなんだものは人気が高い。特に大谷選手の「翔」の字は、男の子の使用漢字で上位を堅持しているという。
では、犬の場合はどんな名付けが人気なのか。
アニコムによると、飼い主が呼びやすく、毛の色や見た目の形を基にした2~3文字の名前が不動の人気だという。
実際、今年の調査で雄と雌の総合ランキング4連覇を果たしたのは「ムギ」(1255頭)で、2~5位は「ココ」(913頭)▽「モカ」(757頭)▽「ソラ」(715頭)▽「ラテ」(654頭)――と、トップ5はいずれもふわふわした白や茶色の毛並みを連想させる2文字の名前が独占した。
デコピンと同じ4文字の名前としては、和名が用いられる傾向が強い柴犬(しばいぬ)などに付けられる「コタロウ」が雄のランキングで6位に入った程度だった。
また、トップ10の名前は昨年と大きく変わっていない。特に2位の「ココ」は10年以降、毎年トップ10入りしている。
そのため、アニコムの担当者は「デコピンは珍しい名前ながら、デビューから1年足らずの間にゼロから着実に数を伸ばしており、健闘しているとも言える。大谷選手の活躍で、これから新しく迎えられた子に名付けられる機会は、どんどん増えていくのではないか」と予想している。【稲垣衆史】