「1票の格差」が最大2・06倍だった27日投開票の衆院選は投票価値の平等を定める憲法に反するとして、弁護士のグループが28日、選挙の無効を求めて全国の14高裁・高裁支部に一斉提訴した。
1票の格差を巡っては、最高裁が衆院選の最大格差が2倍を超えた2009、12、14年選挙を3回連続で「違憲状態」と判断。国会は16年、人口比を選挙区の定数に反映しやすくする「アダムズ方式」を20年の国勢調査後に導入すると決めた。
17年選挙は経過措置として定数の「0増6減」が実施された。最大格差は1・98倍まで縮小し、最高裁は「合憲」と判断。前回21年選挙はアダムズ方式の導入が間に合わなかったものの、最大格差2・08倍で「合憲」とされた。
衆院選挙区画定審議会は22年6月、アダムズ方式によって定数を見直した上で、最大格差が2倍未満に収まる区割り改定案を岸田文雄首相(当時)に勧告。22年12月、小選挙区の定数を「10増10減」する改正公職選挙法が施行され、今回はアダムズ方式に基づいて区割りを見直した初の選挙だった。
総務省によると、公示前日の14日時点で、有権者数が最も多いのは北海道3区が46万1457人で、最も少ない鳥取1区が22万4060人だった。1票の格差は今回も2倍をわずかに超えており、是正に向けた国会の対応をどう評価するかが焦点となりそうだ。【巽賢司】