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政治腐敗を批判の台湾第3党、自らにカネ巡る疑惑 支持が急落


 台湾の立法院(国会)の第三勢力「台湾民衆党」で、政治とカネを巡る疑惑が噴出している。今年1月の総統選や立法院選挙では、2大政党による政治腐敗を批判して若者らの間で支持を拡大。立法院のキャスチングボートを握る勢力となったが、党の「看板」に向けられた疑惑で支持が急落する試練に直面している。

 総統選には柯文哲(かぶんてつ)党主席(党首)が立候補した。選挙後に当局に提出した資金報告書の中で、選挙イベントの運営を請け負った業者に対する「報酬」として記載した金額の一部が実際には支払われていなかったことが発覚。台北地検が文書偽造容疑で捜査に乗り出す事態になっている。

 民衆党は29日に記者会見を開き、総額1937万台湾ドル(約8780万円)分の申告に漏れや誤りがあったと発表した。柯氏は会見で頭を下げ、「小さな党では党員が職務を兼ねざるを得ず、ダブルチェックが行き届かなかった」と陳謝。自身に対する党内の調査を受けるために3カ月間、党首の職務を離れると述べた。

 また柯氏は台北市長在任時(2014~22年)に、市内で大型商業施設の開発を進める業者の求めに応じて、建ぺい率を大幅に高める便宜を図った疑惑も浮上した。台湾メディアによると、検察は贈収賄の疑いで業者側から事情を聴いている。

 民衆党は医師の柯氏が19年に結成。民進党や国民党で相次ぐ政治とカネの問題を歯に衣(きぬ)着せぬ口調で批判する柯氏の姿勢に、若者や無党派層から支持が集まった。

 1月の立法委員選(改選数113)では最大野党の国民党が52議席、与党の民進党が51議席といずれも過半数に届かない中、8議席を獲得してキャスチングボートを握った。少数与党の頼清徳政権では、国民党と民衆党が連携して立法院の権限を強める法案を成立させるなど野党主導の審議が目立つ。

 その中で発覚した新興政党のずさんな会計処理に向けられた視線は厳しい。

 民間団体「台湾民意基金会」による世論調査によると、1月時点で22・5%だった支持率は8月20日発表分では13・7%と約9ポイント低下した。民衆党は地方組織の整備などで2大政党に及ばない。メディアをにぎわせる柯氏の個人的な人気に頼むところが大きく、スキャンダルが党の泣き所を直撃した格好だ。【台北・林哲平】

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