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ブーム到来でウイスキー製造に再参入 老舗酒類メーカー、世界に挑戦


 日本産ウイスキーの評価が海外で高まる中、全国各地でウイスキー蒸留所の設立が相次いでいる。広島県内でも創業100年を超える廿日市市の老舗酒類製造会社が、海と山が近い地元環境を生かして「シングルモルト」の製造、販売に取り組んでいる。

 「サクラオブルワリーアンドディスティラリー」(同市桜尾1)は1918年の創業。「中国醸造」の社名で長年、焼酎を中心に日本酒やリキュールなど多様な酒造りを手がけ、60年代には業界初の紙パック入り日本酒を売り出している。

 起業後まもなくウイスキーの製造免許を取得し、実績を積み上げていたが、焼酎や地酒ブームなどによる需要の低迷で大量に在庫を抱えるようになり、80年代に生産から撤退した。

 ところが、2000年代に入り、「冬の時代」が続いていたウイスキー需要は、ハイボール人気で上向きとなり、海外の品評会で日本産ウイスキーが受賞を重ねたことも追い風となり回復。やがてジャパニーズウイスキーブームが到来した。

 海外の取引先から高級ウイスキーの代名詞である「シングルモルト」の製造を勧められたのをきっかけに、同社もウイスキー造りへの再参入を模索。社内にプロジェクト・チームを作り本場スコットランドの蒸留所を見学するなど検討を重ね、約3億円を投じて本社敷地内に設備をそろえ、17年末に生産を開始した。

 ウイスキーは熟成が必要で、仕込みから出荷まで3年以上かかり、経営上リスクを負うことになる。その覚悟と海外進出を見据えて21年3月、所在地を冠した社名に変更。同年夏に初のシングルモルトを発売した。

 「桜尾」と「戸河内」の主に2種類。瀬戸内海近くの本社貯蔵庫で熟成させた「桜尾」はかんきつ系の香りで程良い渋みと酸味のある味わい、中国山地のかつての鉄道トンネルで熟成した「戸河内」は軽快な口あたり、すっきりとした甘さが特長だ。原料にもこだわり、県内産の大麦の調達安定を図るため、JA尾道市と今春協定を結んだ。

 同社は「長い間培ってきた技術や伝統を大切にしながら、世界へ挑戦していきたい」としている。【高田房二郎】

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