札幌市議会財政市民委員会は31日、1972年札幌冬季オリンピックのテーマ曲「虹と雪のバラード」を市の無形文化財(音楽)に指定するよう求める陳情を初審査し、賛成ゼロで即日不採択とした。陳情した札幌市東区文化団体協議会特別顧問を務める石川隆夫さん(90)は「半世紀を超え、今でも多くの市民に愛され、喜びと感動を与えている。賛成者がおらず残念だ」と話した。
審査では、無形文化財の指定対象を問われた市の担当者が「将来にわたって保存すべき歴史上、または芸術上価値を有する人間の技であり、指定と同時に技を高度に体得している保持者・団体を認定しなければならない。虹と雪のバラードは多くの方に親しまれ、広く歌われている楽曲と認識しているが、特別の技という観点からは、指定対象としては考えづらい」と答弁した。
「虹と雪のバラード」を巡っては、札幌市営地下鉄の「接近放送メロディー」(到着メロディー)でアレンジ曲が流れていたが、市が冬季オリンピック・パラリンピックの招致活動を停止したことに伴い、今年3月に廃止されている。
委員からは「メロディーが廃止になった際、継続を求める声も多く寄せられたと聞いている。引き続き利活用を検討して、次代につなぐ作品となるようにしてもらいたい」との意見が出た。
市の無形文化財は現在、1974年に指定された「丘珠獅子舞」(丘珠獅子舞保存会)のみとなっている。【高山純二】