国道脇に座り込む「警察官」が話題を呼んでいる。まるで本物のように見えるが、実は精巧に作られたオブジェ。見通しの良い直線道路に「パトカー」と一緒に突如現れたこの警察官は、一体どんな意図で設置されたのか。
兵庫県丹波篠山市のJR南矢代駅近くを走る国道176号。直線道路の脇に「速度違反自動取り締まり装置」を構えた男性警察官が座り込んでいる。その後方には、誘導灯を手にした女性警察官とパトカーもある。
遠くから見ると本物に見間違えるほどの作りだ。偽パトカーの車体側面には「POLICE」ならぬ「PEACE(平和)」の文字が書かれている。
アニマルオブジェの制作・販売を手掛ける「M―CLASS GARDEN」(同県三田市)を経営する宮田守さん(50)が設置した。
宮田さんによると、付近は通学路となっているが、国道は長い直線で交通量も多くないため、スピードを出す車が少なくないという。事故の抑止や地域の安全のためにと、所有する土地に設置した。
パトカーは、実際に使われている白い車種のもので、ボディーの下半分をエアブラシで黒に塗装した。警察官はリアルな人間に近付くように艶を出すなど細部までこだわった。
5月初旬の設置後、SNS(ネット交流サービス)の投稿をきっかけに一気に話題に。宮田さんは「楽しみながら塗装、作業をしている。オブジェをきっかけに、事故の抑止や地域の活性化につながれば」と語る。
オブジェを見に訪れた神戸市灘区の会社員、金子展浩(のぶひろ)さん(52)は「衝撃だった。知らなかったらドキッとする」と語った。ツーリングやドライブなどで多くの観光客らが訪れているという。
県警によると、特定の警察名を挙げておらず、私有地への設置のため問題はないという。県内では1~4月に5050件の交通人身事故が発生。死者は36人で全国で4番目に多い。【木山友里亜】