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なぜ焼肉屋が? 代替肉でハンバーグ ふじや社長が明かす開発秘話


 デミグラスソースを絡めた「ハンバーグ」を口に入れると、濃厚なうまみがジュワッと広がった。おいしい。穀物からできているとは……。【大野友嘉子】

代替肉はタカキビ 着目のわけは…

 代替肉を使ったハンバーグを開発したのは、徳島県を中心に焼き肉店など約70店舗を展開する「ふじや」(本社・徳島市)だ。

 焼き肉屋がなぜ? 鍛谷(かじたに)徹社長(49)に開発秘話を聞いた。

 「コロナ禍がきっかけでした。お客さんが来なくなり、唐揚げのテークアウトを始めたのですが、売り上げが足りませんでした」

 従業員の生活を守るため、試行錯誤する中で「コロナ後」に目を向けた。「インバウンドが増える」。そう見越し、ビーガン(完全菜食主義者)向けの商品開発に乗り出した。

 約1年前、開発チームのメンバーが目をつけたのがイネ科の穀物「タカキビ」だ。弾力のある食感が肉に似ていることから「ミートミレット(meat millet=肉の穀物)」とも言われ、古くから地域にゆかりのある食材だった。

 「徳島はキビやアワなど雑穀の栽培が盛んな地域で、『阿波国』の由来とされています。大豆ではなく、タカキビを使うアイデアは、何となく提案者の頭の片隅にあったのだと思います」

 試作品を味見すると、メンバーから「うまい!」の声が次々に上がった。「タカキビにはひき肉に近い食感があり、肉の再現性が高いことが分かりました」

 タカキビは国内生産量が少ないため、米国産や中国産も用いて商品化にこぎ着けた。

「味も栄養も肉を超える」

 タカキビは、食物繊維やビタミンB1、鉄、カルシウムなどを含み、栄養価が高い「スーパーフード」として知られる。味も栄養も「肉を超える」という意味を込め、商品名は「肉超(にくごえ)ハンバーグ」に決まった。

 こうした植物由来の原材料を使用し、肉などに似せて作られる食品は「プラントベースフード」と言われる。肉の製造過程に比べて環境負荷が少ないとされ、世界的な食糧難解決に向けた対策の一つとして近年注目されている。

 だが、鍛谷社長は「まずはおいしいことが重要」と断言する。「(環境問題や食糧難への対応は)どちらも大切ですが、それだけでは多くの人に食べてもらえません」

 1968年創業の同社は、四国と関西で焼き肉店のほか、唐揚げ店や冷凍ギョーザの無人販売店なども展開する。

 「食に対する人間の本質はおいしいかどうか。商売をやっているので分かるんです。私たちはそこからスタートしました。結果的に環境にもいいというのが理想です」

 「肉超ハンバーグ」は2月9日にオンラインショップで販売を始め、今後の店頭販売も視野に入れている。

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