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こんか漬け、被災の加工場で仕込み ファンの励ましで再開決意


 能登半島地震で大きな被害を受けた富山県氷見市の水産加工会社「柿太水産」でこのほど、特産の「こんか漬け」の仕込み作業が行われた。本来作業のある2月に入っても加工場の水が出ず、代表の柿谷政希子さん(55)は一時今年の製造を諦めかけたが、多くのファンからの励ましで再開を決意。ようやく仕込みにこぎ着けた。

 「こんか漬け」は、イワシなどの魚をぬかで漬け込み発酵させる北陸の伝統的郷土食。長年、こんか漬けを製造する柿太水産では毎年1~2月にかけ、氷見漁港で水揚げされたイワシやブリを使って仕込み作業のピークを迎える。しかし、今年の地震で加工場地下の水道管が損傷。2月に入っても加工場の水は出ないままで、大量の水が必要な魚の下処理ができなくなった。

 また、父の代から50年以上愛用してきた業務用冷蔵庫も故障し、従業員も被災するなど、一時は家業継続が難しいと考えた柿谷さんだったが、昨年仕込んでいた干物を「すぐにあるだけ買う」と言ってくれた県内外の飲食店や、心配して駆けつけてくれた友人たちに励まされ、徐々に気持ちは前向きに。また加工場内に残っていた昨年つけ込んだ約10個のこんか漬けのたるも奇跡的に無事で、1月と2月に同市内で開催された外国人向けのツアーで振る舞われ、参加者を喜ばせた。

 さらに全国から同市に駆けつけたボランティアらが2月に加工場内をきれいに片付けてくれた。すると、加工場の木組みの建物はほぼ無傷のままで、柿谷さんは「先祖から『続けてくれ』と言われているように感じた」という。そこで、例年よりは少ないが約280キロのイワシを仕入れ、仲間の業者に下ごしらえにあたる塩漬け作業を依頼。伝統のこん漬けには麹(こうじ)や酒かすなどが必要だが、同市内にあるなじみの麹(こうじ)店も被災したため、同県魚津市のみそ店に麹を分けてもらい、同じく被災した市内の酒蔵の酒かすも利用。例年より数週間遅れたが、今月8日、パート従業員6人も駆けつけて漬け込み作業を行った。完成は夏ごろの予定という。

 柿谷さんは「皆さんに助けてもらってここまでたどり着いた。例年の半分以下の量だが、今できる精いっぱいのことはできた。加工場内に活気が戻って、本当にうれしい」と感激していた。【青山郁子】

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