米連邦捜査当局は25日、「ディディ」「パフ・ダディ」としても知られる人気ラッパーで音楽プロデューサーのショーン・コムズさん（54）の自宅2カ所を家宅捜索した。米メディアが報じた。性的な人身売買を巡る連邦検察などの捜査の一環だという。コムズさん自身に容疑がかかっているかどうかは不明だが、過去に性的虐待に関与した疑惑が最近相次いで浮上していた。コムズさんの弁護士は26日に「無実であり、汚名をすすぐために闘い続ける」と疑惑を否定した。
AP通信などによると、西部カリフォルニア州ロサンゼルスと南部フロリダ州マイアミにある自宅が、国土安全保障省の当局者の捜索を受けた。コムズさんの弁護士は「大げさな規模の捜索で、当局が力と敵意を過度に示した」と批判した。
米メディアによると、コムズさんは2023年11月、元交際相手の女性から「数年間に及ぶ性的虐待があった。売春をしている男性との性交渉をコムズさんに強いられ、撮影された」と民事訴訟で訴えられた。コムズさん側は「『過去の関係について暴露する本を書く』と脅され、3000万ドル（約45億円）を要求されていた」と反論していたが、提訴翌日に裁判外で和解した。和解条件は明らかではない。
23年11月には、1990年代の性的な不祥事に関して別の2件の訴訟も起こされ、コムズさんが所有する電子商取引関係の企業との取引停止が相次いだ。24年2月には音楽プロデューサーが「売春婦を呼んで性交渉をするよう強要された」と提訴。コムズさん側は全ての問題で、疑惑を否定している。
コムズさんは90年代にラッパー、ヒップホップアーティストとして人気になり、音楽プロデューサーや起業家としても知られている。【ワシントン秋山信一】
