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工藤会トップ、無期判決説明に前のめり 高裁では無言のまま退廷


 地域を不安に陥れた4件の市民襲撃事件に関与したとして、殺人罪や組織犯罪処罰法違反(組織的殺人未遂)などに問われた特定危険指定暴力団「工藤会」(北九州市)トップで総裁の野村悟被告(77)に対し、1審死刑判決を破棄し、無期懲役を言い渡した12日の福岡高裁判決。裁判所の警備が強化され物々しい空気に包まれるなか、予期せぬ判決内容に、関係者からは驚きの声が上がった。

   ◇

 「被告人野村悟を無期懲役に処する」。12日午前10時ごろ、福岡高裁の1015号法廷。市川太志裁判長は主文の朗読から始め、野村被告の1審・福岡地裁判決(2021年8月)を破棄した。紺色のスーツ姿で補聴器を付けた野村被告は、市川裁判長の方をじっと見ながら耳を傾けた。

 1審判決では、死刑を言い渡された野村被告が閉廷後、裁判長に「生涯、後悔するぞ」と言い放ったこともあり、この日の高裁判決では多数の警察官らが警備に当たり、法廷があるフロアへの一般の人の立ち入りを制限。地裁、高裁ともにウェブや電話会議を除き裁判の期日を入れず、野村被告ら以外の公判は開かれないなど厳戒態勢が敷かれた。市川裁判長は「不規則発言は即時退廷を命じる」と冒頭で厳しく注意した。

 4事件全てで野村被告を「首謀者」と認定した1審判決後、野村被告らは弁護団を解体し、多くの死刑求刑事件で弁護人を務めてきた安田好弘弁護士らを新たに選任。控訴審で弁護側が展開した主張は、首謀者は野村被告ではなく別の組員だったという「アナザーストーリー」だった。

 1審で全事件の関与を否定したナンバー2で会長の田上不美夫(たのうえ・ふみお)被告(67)は、2審の被告人質問で起訴された4事件のうち2事件について「(被害者を)傷付けるように指示した。(野村被告は)全く知らなかった。総裁を巻き込んでしまい申し訳ない気持ちです」と一転して独断で配下組員に指示したと認めた。

 一方、1998年に元漁協組合長が殺害された事件では、関与を否定したまま無期懲役となった受刑者(77)が出廷し「自分の個人的事件だ。総裁と会長は関係ないのに主犯とされているから本当のことを話そうと思った」と語った。

 市川裁判長は、田上被告の新たな証言について「荒唐無稽(むけい)だ」と一蹴したものの、元漁協組合長事件について、事件時に野村被告が序列1位、田上被告が同2位だった2次団体「田中組」による組織的犯行としながら、当時の組織の意思決定のあり方が不明などとして「野村被告の共謀を推認するには限界がある」とした。

 野村被告は自身の共謀に関する説明部分では前のめりになり、時折小さくうなずく姿も見られた。田上被告は終始、身じろぎせず聴き入った。午後2時40分ごろに市川裁判長が閉廷を告げると、野村被告は裁判官席に一礼し、無言のまま退廷した。

元刑事部長「残念と驚き」

 14年に野村被告らを逮捕した「頂上作戦」で捜査を指揮した尾上芳信・元福岡県警刑事部長は判決を傍聴後に取材に応じ、1審判決が破棄されたことについて「悔しいというか残念な気持ちで、驚きもあった」と険しい表情を浮かべた。そのうえで「両被告は無期懲役で社会不在が続く。指定暴力団のトップが共謀共同正犯で長期刑に服さなければならないことは他団体にも大きな影響を与える」と厳しい量刑が維持された意義を強調した。

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