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「黒髪・直毛」が前提の校則 外国人ルーツの子の人格形成に影響


 ブレイズ(三つ編み)を取らない限り、授業や生活態度が悪いという理由で成績を下げると脅された――。「黒髪・直毛」を前提とする校則や指導が、外国にルーツのある子どもたちの学校生活に戸惑いを与えている。人格形成に影響を及ぼしかねず、人権侵害との指摘もある。

東京弁護士会が実態調査

 東京弁護士会が1月に発表した、外国にルーツを持つ児童・生徒の学校での髪の毛に関する経験についての実態調査で浮き彫りとなった。

 調査は2023年5~6月、外国にルーツがあり、日本国内の小中高校に通学したことがある人と、その保護者を対象にインターネット上でアンケート形式で実施した。小中高生58・1%(75人)と、高校を卒業した41・9%(54人)の計129人が回答した。

目立ちたくないから…

 回答者の地毛は約7割が「強いカール」。89人が縮毛矯正や染色をせず、縮毛矯正や染色をしたのは34人。その理由(複数回答)は「周りから目立ちたくない」「毎朝の手入れが楽」などだった。

 この結果について有園洋一弁護士は「校則では目立つことがふさわしくないなどとして、髪に手を加えることを禁止している。しかし、実際はパーマや染色は目立ちたくなく、周りの人と合わせないといけないという危機感からしたのでは」と指摘する。

 通学する髪形は「ひとつ結び」が最も多かった。カールが強い髪質はセットしようにも髪が膨らんだり、絡まったりして時間がかかる。アフリカ系専門ヘアスタイリストで一般社団法人「H・B・A(ヘア・ブレイダーズ・アソシエーション)Japan」代表の名嶋恵美子さんによると、強いカールの子が髪を強く引っ張って結ぶことなどで牽引(けんいん)性脱毛症になりやすいため、配慮が必要だという。

「いろいろな髪質が普通」

 校則や明文化されていない「きまり」や指導については、黒以外のカラー禁止がある学校が多かった。ストレートパーマや黒染めの強制を受けたとする人もおり、有園弁護士は「同化の強制、差別にあたる」と指摘する。

 自由記述からは「ブレイズで登校すると呼び出され、おしゃれをしていると言われた」「どう見ても地毛なのに『パーマかけているの?』と言われた」などと行き場のない怒りが読み取れる。

 学校側に求めたいこととして「見た目で何かを判断する社会を形成する教育を学校がしてはならない」「いろいろな髪質があることが普通のことであると伝えてほしい」「アフロでもコーンローでも黒くても茶色くても、関係なく登校できるようにしてほしい」などの回答があった。

 一方で「どんな髪形でもよいと言われた」「アフリカ系の髪形に配慮してジェルの使用を許可してもらった」という学校側の理解があった事例もあった。

24人に1人が外国ルーツ

 厚生労働省の人口動態統計によると、21年に日本で生まれた子どものうち、24人に1人が両親または両親のどちらかが外国籍だった。東京弁護士会「外国人の権利に関する委員会」の委員長、林純子弁護士は「生徒に対症療法的ではなく、腰を据えて対応を考えていく時期に来ている」と語る。

 その上で「髪の毛や髪形はアイデンティティーに直結する。特別扱いすることで他の生徒との不公平が生じると危惧する先生もいると思うが、髪質の差異を考慮に入れて接することが平等な結果につながる」と指摘する。

 外国にルーツのある子どもたちの髪質、髪形を巡っては、兵庫県姫路市の高校で23年2月、アフリカ系アメリカ人の父と日本人の母親を持つ生徒がコーンローで卒業式に参加しようとしたところ、他の生徒から隔離される問題があった。【幸長由子】

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