ロシア軍、ウクライナ東部要衝アブデーフカを「完全制圧した」

　ロシアのショイグ国防相は17日夜、ウクライナ軍と激戦が続いていた東部ドネツク州の要衝アブデーフカについて「完全制圧した」とプーチン大統領に報告した。ロシア軍は昨年10月からアブデーフカで攻勢を強めており、ウクライナ軍のシルスキー総司令官が同日、より有利な戦線で防衛するとして戦略的な撤退を表明していた。

　プーチン氏はアブデーフカを「最も重要な戦線の一つ」と位置づけていた。ここを足がかりに、一方的に併合を宣言したドネツク州全域の制圧を進めたい構えで、3月の大統領選に向けた成果にしたい思惑もありそうだ。アブデーフカはロシアの占領下にある同州の州都ドネツクから北に約15キロの位置にあり、ロシア国防省は「アブデーフカの解放によってドネツクの町をより手厚く守ることができる」と強調した。

　アブデーフカを巡っては、猛攻をしかけるロシア軍に対して、ウクライナ軍は弾薬不足などで苦境に立たされていた。シルスキー氏は撤退について「（ロシア軍による）包囲を避け、兵士の命を守るため」と説明。「状況を安定させ、陣地を維持するための措置を講じている」と強調している。