世田谷区が生活保護世帯に大学学費年50万円 制度の隙間埋める

　東京都世田谷区は8日、2024年度から、大学などに通う区内の生活保護世帯の学生に毎年最大50万円の学費を給付すると発表した。区によると、成績要件を設けずに生活保護世帯を対象に大学進学などを支援する事業は全国的にも珍しいという。約3180万円を計上した24年度当初予算案を区議会に提出する。

　対象は4年制大学や短大、専門学校などに通う学生で、学費最大50万円のほか、教材費や通学交通費をそれぞれ年1回給付する。中途退学した場合も返還は不要。ケースワーカーから対象者へ周知を図り、申請手続きのサポートを行う。24年度は60人程度の利用を見込んでいるという。

　現行制度では生活保護を受けながらの通学は認められず、進学する場合は、生活保護の対象から外す「世帯分離」の手続きが必要になる。世帯分離をすると、学生はアルバイトで生活費などをまかなわなければならず、進学を断念する要因とされている。

　保坂展人区長は「制度の隙間（すきま）で進学を諦める若者が生まれないように、まずは区から支援を始めようと考えた」と話した。【加藤佑輔】