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イスラエル、ガザ住宅破壊加速 「緩衝地帯」整備狙いか 和平妨げ


 パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘が7日で発生から4カ月を迎える中、イスラエル軍がガザでの住宅破壊を加速させている。イスラエルには境界沿いに「緩衝地帯」を設ける構想があり、その一環とみられる。だが、住民の帰還や戦後復興への影響は大きく、批判が上がっている。

 紛争で意図的に大量の住宅を破壊する行為は「ドミサイド」とも呼ばれる。国際法では軍事利用されていない住宅の破壊や、民間人の強制移住は禁じられている。近年ではウクライナ南東部マリウポリやシリア北部アレッポなどでこうした行為があったとみられている。

 「イスラエル兵がここ数週間、必要な法的許可なしにガザ地区の住宅を焼き払っている」。イスラエル紙ハーレツは1月末、ガザ地区でイスラエル軍による住宅への放火が「慣行」になっていると報じた。

 軍は「情報」に基づき実施しているとしているが、中には懲罰目的とみられるケースもある。SNS(ネット交流サービス)では、イスラエル兵が後から来る別の部隊に残した「君たちが楽しめるように、家は燃やさないでおく。出るときに何をすべきかは分かっているね」と書かれたメモの写真も投稿されたという。

 英公共放送BBCの分析では、ガザ地区では全体の半数以上にあたる14万4000~17万5000棟の建物が損壊。AP通信によると、ガザ地区南部の境界の一部では幅1キロにわたり建物が取り壊され、更地に変わった。

 イスラエルは1月、ガザ北部の住民帰還に向け国連による調査を受け入れることに同意したが、住む場所がなければ戻れない。エジプトの政府系紙アルアハラムのアシュラフ・アブエルホウル編集長は「イスラエルは住宅やインフラを破壊する焦土作戦を行っており、明らかなドミサイドだ。復興には時間がかかる。全てを失った場所に戻りたいという住民はいないだろう」と指摘する。

 イスラエル軍の住宅破壊の背景にあるのがガザ地区の境界に立ち入り禁止の「緩衝地帯」を設ける構想だ。ハマスは昨年10月7日の越境攻撃で、境界にあるフェンスを破壊してイスラエル領に侵入した。このため、イスラエル政府関係者からはたびたび緩衝地帯の必要性を指摘する声が出ている。

 今年1月下旬にはイスラエルとの境界から約600メートル離れたところで、軍が建物2棟を破壊するため爆発物を仕掛けていたところ、ハマスによる攻撃を受け兵士21人が死亡した。軍のハガリ報道官は「イスラエル南部の住民が家に戻るのに必要な安全条件を整えるための任務だった」と説明。緩衝地帯のため建物を破壊していることを示唆した。

 だが、境界沿いの幅1キロを全て更地にすれば、ガザ地区の面積の6分の1にもなる。ロイター通信などによると、イスラエルはエジプトやヨルダンなどに計画を伝えたが、複数のアラブ諸国が反対した。ブリンケン米国務長官も1月下旬、「ガザの領土の縮小は支持しない。民間インフラを保護することも重要だ」と語り、反対する姿勢を示した。イスラエルが引き続き緩衝地帯の整備を進めれば、今後の和平の障害になる可能性もある。【カイロ金子淳】

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